日本透析医学会雑誌
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血液透析および血液透析濾過でのβ2-ミクログロブリン除去性能比較: 各種透析膜での検討
藤森 明内藤 秀宗宮崎 哲夫吾妻 眞幸橋本 幸枝堀川 聖三郎尾畠 昭二松藤 昭宏武本 博子
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1995 年 28 巻 12 号 p. 1533-1538

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抄録
7種類の透析膜を使用し, 血液透析 (HD) および血液透析濾過 (HDF, 10L置換) での物質除去性能をβ2-ミクログロブリン (β2-MG) をマーカーとして比較検討した. 非対称構造膜であるpolysulfone (PS-1.6UW), polyamide (Polyflux 130, Polyflux 160), polyacrylonitrile (PAN-17DX) ではHDFでHDよりもβ2-MG除去能が向上し, それぞれ73%, 68%, 70%, 64%の除去率が得られた. 一方, 均一膜であるcellulose triacetate (FB-170U, FB-170E) は, HDFでもβ2-MG除去率がそれぞれ52%, 45%と低かった. また, PMMA (BK-1.6U) ではHDとHDFでβ2-MG除去率にほとんど差がなく, それぞれ61%, 62%であった. PMMA以外の膜では, β2-MGに対する篩い係数 (SC) はHDよりもHDFで低下し, また時間経過によりさらに低下した. この傾向はFB-170Uで特に顕著でありHDFでβ2-MG除去率が向上しない原因と考えられた. FB-170Uは他の膜に比べてプロラクチンに対するSCや除去率が高く, またアルブミンの漏出が比較的多い傾向を示した. 以上より, HDFに使用した場合FB-170Uでは, 膜の劣化が起こりやすいためβ2-MG除去率の飛躍的向上はなく, さらに有用蛋白の漏出も多くなるものと思われた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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