日本透析医学会雑誌
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透析患者に合併した皮膚〓痒症に対するazelastine hydrochlorideの臨床効果
田中 寛岸本 武利山上 征二西尾 正一入谷 純光武本 佳昭
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1995 年 28 巻 4 号 p. 389-395

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抄録

皮膚〓痒症, 湿疹・皮膚炎を合併した186例の透析患者を対象に塩酸アゼラスチン2mg/日を投与し, 〓痒, 皮膚症状に対する臨床効果を検討した. 〓痒は, 発現時期別に日中, 夜間, 透析中の3つに分け観察し, その程度は白取の「〓痒重症度の基準」に準じて5段階に分類・判定した. 〓痒に対する塩酸アゼラスチンの効果は, 投与8週後まで投与期間に比例して高まっていった. この傾向は, 日中, 夜間, 透析中のすべての〓痒感に共通しており, 投与8週目まで〓痒重症度の症状なし, 軽微の患者が徐々に増加していった. 週別改善度においても投与7週目まで週を追う毎に改善度の上昇が見られ, 投与8週後の最終全般改善度は, 著明改善14.2%, 中等度改善29.0%, 軽度改善27.9%という成績であった. 副作用および血液検査の異常は10例, 5.4%に認められ, その主なものは, 眠気, 味覚異常, 口渇などであった.
以上の成績から, 塩酸アゼラスチンは, 透析患者の皮膚〓痒症に優れた効果を示し, 安全性も高く有用な薬剤と考えられる.

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