抄録
34歳女性. 21歳で全身性エリテマトーデス (SLE) を発症し, 胸膜炎, ループス腎炎を発症するが, prednisolone療法や免疫抑制剤で軽快していた. 1995年5月頃から四肢に紫斑が出現し, 血小板減少 (5,000/μl), 貧血 (ヘモグロビン7.6g/dl), LDH高値 (1,035IU/l) を指摘され入院. 入院後, 脳梗塞を発症し, 末梢血塗抹標本で微小血管障害性溶血性貧血を認め, 血小板減少と併せて血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) と診断した. また, 抗カルジオリピン抗体は陽性であったが, 抗リン脂質抗体症候群の既往はなかった. 3回の血漿交換により, 血液像は一時的に改善したが, 血漿交換中止後5日目には血小板は再び減少. 血漿輸注を400mlから開始したところ, 血小板は増加. 血液像を見ながら20日間で血漿輸注を漸減中止した. 中止後血小板数は減少せず, 退院後4か月を経過したがTTPの再燃を認めていない. 抗カルジオリピン抗体はTTP寛解後も陽性でありTTPへの関与は不明であった. 本例は, 血漿交換の再燃に血漿輸注を行い寛解に導入できたTTPの1例であり, 血漿交換が有効であれば, 再燃時には血漿輸注のみで寛解導入しうる可能性を示唆した.