日本透析医学会雑誌
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Ranitidineによる無顆粒球症を認めた透析患者の1例
佐藤 安美田中 謙二渋谷 恒文神崎 仁徳浅山 良吉
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キーワード: 無顆粒球症, 血液透析
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1996 年 29 巻 3 号 p. 231-234

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抄録

症例は70歳女性. 3年前に間質性肺炎と診断され, ステロイドホルモンにて改善. 1994年5月から血液透析を行っていたが, 発熱, 低酸素血症が出現し, 間質性肺炎の再燃と診断. 再びステロイドホルモン投与にて軽快したが, その時, omeprazole 40mgを併用した. 7月14日からranitidine 150mgへ変更したところ, 8月17日から咽頭痛, 発熱が出現. WBC 1,100と減少し, 分画で好中球がみられなかったため入院となった. 骨髄では, 有核細胞数が減少し, 顆粒球系の著明な減少がみられた. ranitidineを中止し, 抗生剤, G-CSFの投与にて感染症は治癒し, 白血球も回復した. 出血性ビラン性胃炎による心窩部痛に対し, famotidine 20mgを開始し, 症状は消失. 現在まで顆粒球の減少もみられていない.
H2ブロッカーによる白血球減少の機序は不明であるが, 本例のように回復に長期間を要する症例もあり, 注意が必要である.

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