日本透析医学会雑誌
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左腕頭静脈走行異常によると思われる稀な内シャント静脈高血圧症の1例
杉浦 清史内堀 之弘上田 邦彦鈴木 利昭太田 和夫
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1996 年 29 巻 4 号 p. 303-308

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抄録

症例は74歳男性, 既往歴に肺結核による入院歴がある. 左上肢肘部に内シャントを作製したところシャント血流量が著しく増加した3年後に左上肢全体の腫脹, および前胸部の静脈の怒張が生じた. 左鎖骨下静脈およびその中枢静脈の狭窄の有無および, 外頸静脈へのバイパス作成による, 静脈系の減圧の可能性を確認するため, 静脈造影検査, および造影CT検査を行った.
鎖骨下静脈には狭窄, 血栓の所見はなく, さらに鎖骨下静脈と内頸静脈との合流部より中枢の静脈は, 尾側に向かい大動脈弓の下方を通り右心房に還流し, 大動脈弓の下方を通る部位に狭窄が認められた.
本症例は鎖骨下静脈にカテーテルなどの留置の既往がなく, 左腕頭静脈の走行異常による内シャント静脈高血圧と思われる.

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