日本透析医学会雑誌
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血液透析患者における血清1,25-水酸化ビタミンD濃度の臨床的意義-血清Ca濃度, 骨塩量との関連
安藤 亮一土肥 まゆみ竹田 篤千田 佳子井田 隆秋葉 隆丸茂 文昭
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1996 年 29 巻 7 号 p. 1123-1129

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抄録

血液透析患者における血清1,25-水酸化ビタミンD (1,25D) 濃度の臨床的意義を明らかにするために, 血清Caおよび橈骨骨塩量との関連を, 活性型ビタミンD3治療をしていない血液透析患者21例と1α水酸化ビタミンD3 (1αD) を投与されている透析患者50例, 計71例で検討した. 血清1,25D濃度と血清Caは正の相関関係を示し, 特に, intact-PTH 100pg/ml未満の群で関連が深い傾向を認めた. 1αDの投与量に変更のあった10例では, 血清1,25D濃度の変化量と血清Caの変化量の間に良好な正相関を認めた. 一方, 血清1,25D濃度とDXA法にて計測した橈骨遠位1/3端の骨塩量との間には関連が認められなかった. intact-PTH 100pg/ml, 血清1,25D 15pg/mlを境とし, その組み合わせで4群に分けて橈骨骨塩量を比較検討すると, PTH, 血清1,25D濃度いずれも低い組み合わせの群で橈骨骨塩量が最も良好に保たれる傾向を認めた. 以上より, 血清1,25D濃度を正常に保つことは, 高Ca血症が必発であり, 実現は非常に困難である. 一方, 血清1,25D濃度と橈骨骨塩量との関連は明らかでなく, 血清1,25D濃度を持続的に高く保つことが, 必ずしも良好な橈骨骨塩量にはつながらないことが示唆された.

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