日本透析医学会雑誌
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慢性維持透析患者の副甲状腺機能低下症に対する活性型ビタミンD休薬の効果
古谷 裕章仙道 敏彦間所 寛広瀬 猛金子 祈代長谷川 浩雨宮 守正海野 鉄男田部井 薫浅野 泰
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1997 年 30 巻 10 号 p. 1247-1251

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抄録

血液透析患者における副甲状腺機能低下症例で活性型ビタミンD製剤 (Vit D) の影響を検討した. 過去1年以上, 常用量のVit Dを継続服用しかつintact (i)-PTHが10pg/ml以下の著しい副甲状腺機能低下症14例を対象とし, Vit Dを中止後18週までの経過を観察した. i-PTHは6.4±0.3pg/mlから中止2週後30.4±7.5pg/ml, 10週後45.5±9.4pg/ml, 18週後50.9±11.6pg/mlへと上昇した. 血清Ca濃度は9.86±0.24mg/dlから2週後9.40±0.19mg/dl, 10週間後9.18±0.23mg/dl, 18週後9.34±0.25mg/dlと低下し, i-PTHの上昇は血清Ca濃度の低下と有意に相関した. 今回の短期間の検討ではVit Dが直接副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する機序以上に血清Ca濃度の変化に依存する割合が高いと考えられた. 血清P濃度も4.95±0.30mg/dlから2週後4.58±0.28mg/dl, 10週後4.54±0.25mg/dlと低下傾向を示したが18週後では5.08±0.20mg/dlと有意な変化はみられなかった. 一方血清Mg濃度は3.64±0.18mg/dlから10週後は3.15±0.14mg/dl, 18週後3.10±0.13mg/dlと有意に低下した. 血清P, Mg濃度の変化とi-PTHの上昇には相関がなくVit Dが直接消化管でのP, Mg吸収に関与していることが推測された. 以上より常用量でもVit Dを継続投与することが副甲状腺機能低下症を引き起こす一つの原因になっていると考えられた.

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