日本透析医学会雑誌
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30 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第42回日本透析医学会教育講演より
    星野 一正
    1997 年30 巻10 号 p. 1219-1224
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 山本 忠司, 金 昌雄
    1997 年30 巻10 号 p. 1225-1231
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD排液中に剥離してくる中皮細胞の面積を測定し, CAPD歴, 腹膜機能, 腹膜変性との関連性を検討した. 対象は当CAPDセンターの患者49名でCAPD期間は3-161か月 (平均63.9か月) である. このうち3例は硬化性被嚢性腹膜炎 (SEP), 5例は腹膜硬化症の患者である. 方法はover night貯留後の排液を採取, その中に遊離している中皮細胞を遠心塗抹染色した後, 鏡顕像をコンピュータ画像処理にて面積計算を行い, 50個を測定しその平均値をとった.
    結果, 中皮細胞はその面積と形態により3群に分けることができた. 細胞の形態は正常で細胞面積が平均335.6±214.0μm2, 核/細胞質面積比 (Nc比) が平均0.66±0.36の正常細胞群, 多核または異常な核を有し大型で細胞面積が570.5±251.5μm2, Nc比0.58±0.39の核異常細胞群, そして細胞が変性腫大し細胞面積が1821.0±481.3μm2, Nc比0.06±0.02の巨細胞群である.
    中皮面積とFAST-PETとの間には弱い相関を認め (r=0.495, p=0.0120), CAPD期間との間には有意の正相関を認めた (r=0.719, p<0.0001). CAPD期間に相関した中皮面積の増加は, 正常細胞および核異常細胞面積が増加することと, 異常細胞出現率が増加することが原因であることがわかった. SEP症例の中皮面積は平均1030.0±99.0μm2であり腹膜硬化症例の中皮面積は597.9±333.4μm2であった. また, SEPの症例全例と腹膜硬化症5例のうち3例に巨細胞を認めた.
    以上のことより, 排液中皮細胞の面積は腹膜変性の指標として有用であり, 特に巨細胞はSEPの予防のためのCAPD中止基準の指標となりうることが示唆された.
  • 有本 保文, 坪井 一彦, 西尾 晃, 長坂 肇, 宮崎 哲夫, 内藤 秀宗
    1997 年30 巻10 号 p. 1233-1238
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析 (HD) 患者29名, CAPD患者12名, 健常者 (N) 94名の赤血球膜C3bレセプター (E-CR1) をFlowcytometry法にて測定し, 血中免疫複合体 (CIC) との関連を検討した.
    その結果, 1) E-CR1はHD群, CAPD群ともN群に比し有意の減少 (p<0.001) を示し, 両群間では有意差は見られなかった. 2) 両群のCICはN群に比し有意に高値で, 両群間では有意差は見られなかった. 3) HD群ではE-CR1と, C1qCIC (p<0.05), C3dCIC (p<0.02), CAPD群では, E-CR1とC1qCIC間 (p<0.05) にそれぞれに有意の負の相関が見られた.
    以上より, HD, CAPD両群のCICは高値を示し, 高値の原因に, E-CR1数の減少に基づくCIC処理能の低下が関与している可能性が示唆された. また, 両群に同様な結果が得られたことより, E-CR1数の減少は尿毒症自体に起因する可能性が示唆された.
  • 睡眠および身体症状の自覚との関連
    田中 和宏, 森本 修充, 保利 敬, 大橋 雪英, 下山 節子, 片渕 律子, 藤見 惺
    1997 年30 巻10 号 p. 1239-1246
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の精神的側面は心理的問題のみでは論じることができず, 身体的要因の調査も行う必要がある. 本報告では, 特に睡眠および身体症状の自覚についての調査を行った. 睡眠障害は多くの患者が自覚しており, 男性の方が睡眠障害を自覚している率が高かった. また, 睡眠導入薬服用群と非服用群では, 睡眠障害の自覚率は服用群で高かった. 身体症状の自覚については, 透析中では血管痛が34.4%, 日常生活では癌痒感が23.0%で最も多かった. 睡眠障害自覚群と身体症状自覚群とは有意な関連が見られた. また, SDSの結果にみる抑うつ群と睡眠障害の自覚との間には有意な関連が認められ, 身体症状自覚群とも関連が見られた. 透析患者にあっては, 身体症状・睡眠障害・抑うつ症状は相互に関連しあっていることが示唆された.
  • 古谷 裕章, 仙道 敏彦, 間所 寛, 広瀬 猛, 金子 祈代, 長谷川 浩, 雨宮 守正, 海野 鉄男, 田部井 薫, 浅野 泰
    1997 年30 巻10 号 p. 1247-1251
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者における副甲状腺機能低下症例で活性型ビタミンD製剤 (Vit D) の影響を検討した. 過去1年以上, 常用量のVit Dを継続服用しかつintact (i)-PTHが10pg/ml以下の著しい副甲状腺機能低下症14例を対象とし, Vit Dを中止後18週までの経過を観察した. i-PTHは6.4±0.3pg/mlから中止2週後30.4±7.5pg/ml, 10週後45.5±9.4pg/ml, 18週後50.9±11.6pg/mlへと上昇した. 血清Ca濃度は9.86±0.24mg/dlから2週後9.40±0.19mg/dl, 10週間後9.18±0.23mg/dl, 18週後9.34±0.25mg/dlと低下し, i-PTHの上昇は血清Ca濃度の低下と有意に相関した. 今回の短期間の検討ではVit Dが直接副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する機序以上に血清Ca濃度の変化に依存する割合が高いと考えられた. 血清P濃度も4.95±0.30mg/dlから2週後4.58±0.28mg/dl, 10週後4.54±0.25mg/dlと低下傾向を示したが18週後では5.08±0.20mg/dlと有意な変化はみられなかった. 一方血清Mg濃度は3.64±0.18mg/dlから10週後は3.15±0.14mg/dl, 18週後3.10±0.13mg/dlと有意に低下した. 血清P, Mg濃度の変化とi-PTHの上昇には相関がなくVit Dが直接消化管でのP, Mg吸収に関与していることが推測された. 以上より常用量でもVit Dを継続投与することが副甲状腺機能低下症を引き起こす一つの原因になっていると考えられた.
  • 山鹿 悦子, 柴田 昌典, 内山 秀男, 林 達也, 谷口 信吉, 宇佐美 一政, 森川 茂広, 川島 司郎
    1997 年30 巻10 号 p. 1253-1257
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    非糖尿病性維持透析患者48名の食餌中の亜鉛摂取量を聞き取り調査によりスコア化し, 腎性骨異栄養症の進展との関係を調べた. 多重比較により亜鉛摂取量と血清副甲状腺ホルモン (PTH-c) の増加 (ng/ml/年), 骨密度の減少 (ΣGS/D/年) には有意の相関がみられた. また重回帰モデルを用いて数式化すると骨塩量の減少=-0.070+0.016亜鉛摂取スコア-0.014 PTHの増加となりその有意性は分散分析で確かめた (r2=0.48, p=0.02). 亜鉛の適切な摂取が, 腎性骨異栄養症の進展を防止する可能性があり, 亜鉛摂取量を考慮した適正な食餌指導が必要であろう.
  • 松下 啓, 杉本 徳一郎, 岩本 彩雄, 大池 裕美子, 多川 斉, 福内 敦
    1997 年30 巻10 号 p. 1259-1262
    発行日: 1997/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例: 40歳, 男性. 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にて1980年5月血液透析に導入. 1995年8月, 発熱, 悪寒, 関節痛にて入院した. 両肩・臀部等に著明な異所性石灰化を認め, アスペルギルス性膿胸と二次性副甲状腺機能亢進症の合併と診断した. 胸腔の排膿洗浄および抗真菌薬投与を開始したが, 臨床症状・炎症反応の改善はみられなかった. 副甲状腺摘除術を契機に炎症反応が改善し, 関節痛が軽減した. 深在性真菌症の発症頻度は低いが, 長期透析患者の合併症として注意すべきである. アスペルギルス性膿胸の発症経過に二次性副甲状腺機能亢進症が深く関わった可能性があると考えられた.
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