日本透析医学会雑誌
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透析患者の精神的側面についてII
睡眠および身体症状の自覚との関連
田中 和宏森本 修充保利 敬大橋 雪英下山 節子片渕 律子藤見 惺
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1997 年 30 巻 10 号 p. 1239-1246

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抄録

血液透析患者の精神的側面は心理的問題のみでは論じることができず, 身体的要因の調査も行う必要がある. 本報告では, 特に睡眠および身体症状の自覚についての調査を行った. 睡眠障害は多くの患者が自覚しており, 男性の方が睡眠障害を自覚している率が高かった. また, 睡眠導入薬服用群と非服用群では, 睡眠障害の自覚率は服用群で高かった. 身体症状の自覚については, 透析中では血管痛が34.4%, 日常生活では癌痒感が23.0%で最も多かった. 睡眠障害自覚群と身体症状自覚群とは有意な関連が見られた. また, SDSの結果にみる抑うつ群と睡眠障害の自覚との間には有意な関連が認められ, 身体症状自覚群とも関連が見られた. 透析患者にあっては, 身体症状・睡眠障害・抑うつ症状は相互に関連しあっていることが示唆された.

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