高homocysteine血症は古くから動脈硬化の危険因子として注目されているが, 透析患者や保存期慢性腎不全患者においても高homocysteine血症の存在が指摘されている. そこで, CAPD患者16名, HD患者14名, および健常者15名を対象にmethionine負荷試験を施行し, 透析患者における高homocysteine血症の成因について検討した. 絶食12時間後にmethionine 0.05g/kgを経口投与し, 血漿総homocysteine濃度はfluoro-HPLC法で, その他の含硫アミノ酸濃度はninhydrin法で測定した. CAPD患者の血漿総homocysteine濃度は上昇, 血漿methionine濃度は低下, 血漿cystine濃度は上昇しており, HD患者にも同様の傾向が認められた. methionine負荷試験において, 透析患者ではmethionineが血中に停滞し, homocysteine, cystathionine, およびcystineが持続的に上昇することが観察され, 透析患者における共通した特有の含硫アミノ酸代謝異常の存在が示された. さらに, 血漿methionine濃度の低下と血漿cystine濃度の上昇を総合すると, 透析患者はhomocysteineからmethionineへの再メチル化反応が障害されていると推察され, 高homocysteine血症の成因になっている可能性が考えられた.