抄録
SEPは, 反復する腸閉塞症状を呈する, 腹膜透析 (CAPD) の合併症として知られている. 今回, 臨床症状と画像診断よりSEPと診断した2症例をステロイドと免疫抑制薬で治療した経験を報告する. 【症例1】74歳, 女性. 昭和53年より糖尿病 (DM) を発見され, 58年6月よりCAPDを開始し, 排液不良のため, 平成3年11月に血液透析 (HD) に変更した. 平成5年5月頃より著しい腹満あり, SEPと診断した. この時よりプレドニソロン5mgとシクロフォスファミド50mgを開始した. 同年8月に一度, 腸閉塞で入院したが, 以後症状なく経過している. 【症例2】70歳, 男性. 昭和45年よりDMで治療を開始. 平成6年1月, CAPDに導入. 平成6年4月, 腹膜炎を発症し, 平成6年5月よりHDに変更した. 平成6年9月, SEPと診断し, プレドニソロン20mg, シクロフォスファミド50mgを開始した. 以後腹部CT上, SEPは徐々に改善傾向がみられている. SEPは, 発症後, 開腹術, 中心静脈栄養管理などを行っても, 予後不良の合併症と考えられているが, 今回の2例は, 感染症に対し十分に注意しつつプレドニソロン, 免疫抑制薬を使用して良好に経過しており, 治療方法として一考に値すると考えられた.