日本透析医学会雑誌
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30 巻 , 8 号
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  • 中沢 速和, 伊藤 文夫, 龍治 修, 奥田 比佐志, 鬼塚 史朗, 巴 ひかる, 山崎 雄一郎, 木原 健, 田辺 一成, 合谷 信行, ...
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1033-1039
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者に発症する腎癌は長期透析の合併症の一つとして注目されている. 今回, 腎癌摘出術を行った透析患者の予後について検討を行った. 対象は1995年12月末までに東京女子医科大学腎臓病総合医療センターで腎摘出術を行い, 病理学的に腎細胞癌と診断し, 1996年4月に予後調査が可能であった透析患者43例である. 対象の年齢は20-80歳 (平均: 51.0歳), 男性37例・女性6例, 平均透析期間は121.1か月 (1-268か月) であった. 進行度はstage I: 14例, II: 20例, III: 5例, IV: 4例であり, 41例に治癒切除が行われた.
    術後観察期間は2-162か月 (平均36.0か月). 観察期間中に9例が死亡, 死因は腎癌死2例, 他因死7例であった. 実測5年生存率は66.1%であったが, 癌特異的5年生存率は87.9%と良好で予後因子として腎癌以外の因子の関与が大きかった. また観察期間中8例に対側発症が確認され, 5例に両側腎摘が行われた. 両側発生の危険因子としては透析期間, 後天性多嚢胞化腎 (ACDK) の合併, 腫瘍の多発性が統計学的に有意であり, 全例男性であった. 透析歴10年以上のACDKに伴う癌多発の男性症例においては, 対側腎の定期的な観察の重要性が示唆された.
    観察期間中, 43例に対し47腎の摘出手術が行われた. 術式は経腰的アプローチ31例 (34腎), 経腹的アプローチ13例 (13腎) であった. 手術合併症は17手術 (36.2%) に認められたが, 重篤なものはなく, 術式による差もなかった.
    今回の我々の結果をみると, 透析患者の腎癌手術例の予後は非透析患者の腎癌の予後と比べ同等であるが, ACDKを伴う長期透析例においては対側腎の注意深い観察が必要であることが示された.
  • 藤 聖隆, 本池 拓史, 提嶋 一文
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1041-1045
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析液清浄化への取り組みとして, 水処理工程からの汚染対策に加え, 患者監視装置の透析液送液側ヘフィルターEF-01 (PEPA膜) を取り付けることで, フィルター出口部のエンドトキシン (ET) 濃度は検出感度以下となった. しかし, ダイアライザーへ接続するOリングカプラーのジョイント部では, 異常な高値を認めた. そして, このカプラーの使用では, 装置の自動洗浄後における, 第1クール透析開始時のダイアライザー内透析液へ細菌汚染を認めた. この原因は, カプラー内のOリング細菌培養結果より, Oリング裏面の消毒不完全による汚染と考えられた. そこで, Oリングを必要としないシリコン製カプラーを使用した結果, 第1クールの透析では, 細菌, およびET汚染を認めず有効であったが, 第2, 第3クールの透析では, 非透析時にカプラーの接続に用いたジョイントからと考えられる細菌汚染を認めた. 今後, 透析液清浄化に向けてカプラー周辺の簡易な汚染対策が必要と思われた.
  • 北村 唯一, 国武 剛, 太田 信隆, 武藤 智, 天野 滋
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1047-1052
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    JCVはヒト・ポリオーマウイルスの一種であり, 進行性多巣性白質脳症の原因ウイルスである. 今回, 慢性血液透析患者の尿中ヒト・ポリオーマウイルス (BKV, JCV) 検出率を検討したので報告する.
    慢性血液透析患者47名 (透析患者群) と腎機能正常な泌尿器科外来患者で, 年齢性が一致する47名 (対照群) において, 尿中ヒト・ポリオーマウイルス (BKV, JCV) をPCR-Southern法を用いて検出した. その結果, 尿中検出率はBKV, JCVともに透析患者群 (BKV 2.1%, JCV 17.0%) は対照群 (BKV 10.6%, JCV 59.6%) に比べて低値であり, 排泄濃度においても低濃度であることが確認された. しかし, 1日尿量が比較的維持されている透析患者サブグループと無尿に近いサブグループとでは尿中ヒト・ポリオーマウイルス検出率に有意差はなかった.
    以上のごとく, 慢性透析患者ではヒト・ポリオーマウイルス排泄が低頻度であるにもかかわらず, 稀に進行性多巣性白質脳症が発症することが報告されており, その発生のメカニズムをさらに研究する必要がある.
  • 村田 敏晃, 松前 知治, 小河原 悟, 兼岡 秀俊, 内藤 説也
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1053-1059
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高血圧を伴った慢性維持血液透析患者5例に肝・腎排泄の長時間作用型アンジオテンシン転換酵素阻害薬である, benazepril hydrochloride 2.5mg単回投与を透析日および非透析日に行い, 血圧, benazeprilおよび活性代謝物benazeprilatの薬物動態, ダイアライザーの動脈側と静脈側前後での濃度, 透析液中, 尿中の濃度を測定した. 透析日と非透析日のbenazeprilの血漿中濃度曲線下面積 (AUC) はそれぞれ54.8±21.0ng・hr/mlと53.8±21.9ng・hr/ml, 最高血中濃度 (Cmax) はそれぞれ24.4±12.6ng/mlと20.1±7.2ng/ml, 最高血中濃度到達時間 (tmax) はそれぞれ1.4±0.5hrと2.0±1.7hr, benazeprilatのAUCは900.7±419.9ng・hr/mlと1233.1±392.1ng・hr/ml, Cmaxは33.1±18.5ng/mlと41.9±14.3ng/ml, tmaxは7.8±3.8hrと7.0±3.7hrであり, 透析日と非透析日間ではいずれも有意差はなかったが, 健常人と比較した場合, benazeprilatにおいてAUCは大きく, tmaxは延長していた. benazeprilおよびbenazeprilat濃度ともダイアライザーの動脈側と静脈側で有意差はなかったが, 一部の症例では透析液中にbenazeprilとbenazeprilatが検出された. 尿中ではbenazeprilatのみが検出されたが, 累積尿中排泄率は0.4-1.2%と低値であった. benazepril hydrochlorideは高血圧を有する透析患者においても安全で有効な降圧薬であるが, 健常人と比較してAUCが増加していることからすれば, 投与量の減量が必要と考えられる.
  • 岡 美智代, 安酸 史子, 保科 良子, 戸村 成男, 土屋 滋
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1061-1067
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: 血液透析患者の自己決定尺度 (Self-Determination Scale for Hemodialysis Patients: SSHP) の開発のための研究を行った. 対象と方法: 開発は三つのステップを通して行った. 第一ステップはアイテム・プールとカテゴリー化である. 患者への半構成的インタビューを元に, 自己決定のカテゴリー化と質問項目作成, ならびに研究者らによる質問項目の妥当性の検討を行った. 第二ステップはアイテム・セレクトで, 73名の血液透析患者への調査を行った. また, 基準関連妥当性検討のため, The Health Self-Determinism Index (HSDI) との関連性の測定を行った. 第三ステップはアイテム決定で, 201名の血液透析患者に調査を行った. 結果: 第一ステップでは, 身体的不調改善のための自己決定, 医療知識・情報保有による自己決定, 患者-医療者関係に起因する自己決定の3カテゴリーからなる18項目の質問を作成した. 第二ステップは, item-total相関, 因子分析により, 身体的不調改善と知識・情報保有を統合したセルフケアに関する自己決定因子と, 患者-医療者に起因する自己決定因子の2因子構造, 15項目の質問にした. HSDIとの関連性は, r=0.67 (p<0.001) であり, SSHPの基準関連妥当性が認められた. 第三ステップでも, item-total相関, 因子分析を行った. その結果, 第二ステップと同様の2因子構造, 14項目の尺度となった. Cronbach's αは, SSHP全体でα=0.84, 下位尺度ではセルフケアに関する自己決定の因子がα=0.83, 医療者不信に起因する自己決定の因子がα=0.78であり, 信頼性が保たれていることが確認された. 結論: 2因子構造, 14項目のSSHPを作成し, 妥当性と信頼性が確かめられた.
  • 岡部 稔, 光野 貫一, 吉田 美由紀, 新城 美穂子, 矢作 史子
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1069-1072
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析液中のエンドトキシン (ET) は, ハイパフォーマンス膜の使用にて看過できない問題になっている. その解決手段として, ダイアライザーに流入直前の透析液に, 紫外線を照射することによりETを減少させることを試みた.
    多人数用コンソール10台中の5台に, 交互にUV装置を付けた. 照射開始日の3時間目と, 1か月目に透析液中のETを測定した. UV照射3時間目にては, ET濃度は照射群 (33.7±3.0pg/ml) と対照群 (36.4±11.6pg/ml) とでは統計的に有意差を認めなかった.
    1か月目には, ET濃度は照射群 (8.9±3.2pg/ml) が対照群 (18.9±6.4pg/ml) より統計的に有意差をもって低下した. ダイアライザーへの流入直前の透析液に, 長時間UVを照射することで効果を得たことは, 現在の透析の消毒法の限界を示している. しかも, UV照射のみで満足する成果は得られないことより, エンドトキシンフィルターの使用も必要と考えられる.
  • 金澤 良枝
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1073
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 田中 美佐子, 村上 泰恵
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1075
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 宮本 恵子, 山田 和弘, 加藤 ふみ, 久永 修一, 栗林 忠信, 杉尾 克徳, 谷口 正次, 古賀 和美, 藤元 昭一, 江藤 胤尚
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1077-1081
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は46歳, 男性. 原疾患は糖尿病で腎不全となり, CAPDへ導入した. 導入後3週目に除水不良となり, 胸部X-pにて右胸水貯留を認めた. 99mTc-MAAシンチグラフィーにより胸腔腹腔間の交通を確認した. 自己血による胸膜癒着術では効果は認めず, 胸腔鏡にて右横隔膜を観察した. 色素を混入した透析液を腹腔内に注入した後, 横隔膜腱状部に数個のブレブ (bleb) が観察された. ブレブ周辺にfibminogenとthmombinからなるボルヒール®を噴霧した. 3週間後からCAPDを再開したが, 再び胸水が貯留してきたため, 血液透析へ移行した.
    CAPDの合併症として胸水貯留を認めることがあるが, その原因となった横隔膜腱状部のblebを胸腔鏡下に確認した報告はこれまでになく, 報告した.
  • 森 康充, 倉田 久嗣, 松尾 清一, 渡邊 有三, 堀田 饒, 鳥山 高伸, 川原 弘久
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1083-1086
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    数年来, 二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) を指摘されていた58歳の血液透析患者が, 突然重度の低カルシウム血症を発症した. 副甲状腺ホルモン (C-PTH) の急激な低下と, 画像診断で腫大副甲状腺の壊死像が確認された. ビタミンDおよびカルシウム製剤の投与により血清カルシウムの上昇は徐々にみられたが, C-PTHの低下はその後も続き, 発症4か月後の画像診断では腫大副甲状腺はほぼ完全に壊死縮小していた. 本症例では, 腫大副甲状腺に梗塞または出血が生じた結果, 壊死に陥ったものと考えられた. 2°HPTが高度に腫大した副甲状腺の-腺に依存している場合にこのような現象がおこりうると推測される. 透析患者が突然重度の低カルシウム血症をきたした場合, 副甲状腺の自壊も考慮する必要がある.
  • 近藤 誠哉, 金田 幸司, 石田 修二, 犀川 哲典
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1087-1092
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    末期腎不全の維持透析中に高度の心嚢液貯留をきたし, 1例は救命できたが, 他の1例は救命できなかった2症例を報告する. 症例1は61歳男性. 慢性腎不全で透析歴5年. 平成6年4月より非透析日に呼吸困難感が出現. 11月より胸部圧迫感も出現するようになったため, 同28日入院. 入院時に心膜摩擦音を聴取し, 血液検査で炎症所見の亢進, 心エコー図上中等量の心嚢液貯留を確認し, 尿毒症性心外膜炎と診断した. 4日間の連日透析を施行したが, 入院5日目の心エコー図では心嚢液貯留が増強し, 翌日になって突然心停止をきたし, 緊急心嚢穿刺を含む心肺蘇生術を施行したが救命できなかった. 症例2は66歳女性. 慢性腎炎から腎不全に移行し平成7年6月から血液透析を導入. 同年8月6日に突然呼吸困難が出現し, 緊急入院となった. 入院時は昏睡, 呼吸停止, 心原性ショック状態であった. 炎症所見の亢進, 胸部X線上高度の肺うっ血, 心エコー図上中等量の心嚢液貯留を認めたため, 尿毒性心外膜炎およびうっ血性心不全と診断. 心肺蘇生術と緊急透析で改善したが, 心嚢液の減少はみられなかった. 入院16日目に再び急性心不全を発症し, 心エコー図上で心嚢液の増加と右室の拡張期虚脱像を認めたため, 心タンポナーデと診断した. 心嚢穿刺およびドレナージ術を施行したところ, 循環動態は安定し, 以降の再発は認めなかった.
    心外膜炎は末期腎不全や維持透析中の患者においては頻度が高く, 心タンポナーデをはじめとする致死的循環器合併症の発症も多い. 心エコー図による心嚢液貯留の半定量化や右房右室の拡張期陥入や虚脱像は本症の生命予後を決定する重要な所見で, 心嚢穿刺等の侵襲的治療に踏み切ることが重要である.
  • 殷 煕安, 小林 和夫, 丸山 資郎, 荒川 正昭
    1997 年 30 巻 8 号 p. 1093-1097
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    SEPは, 反復する腸閉塞症状を呈する, 腹膜透析 (CAPD) の合併症として知られている. 今回, 臨床症状と画像診断よりSEPと診断した2症例をステロイドと免疫抑制薬で治療した経験を報告する. 【症例1】74歳, 女性. 昭和53年より糖尿病 (DM) を発見され, 58年6月よりCAPDを開始し, 排液不良のため, 平成3年11月に血液透析 (HD) に変更した. 平成5年5月頃より著しい腹満あり, SEPと診断した. この時よりプレドニソロン5mgとシクロフォスファミド50mgを開始した. 同年8月に一度, 腸閉塞で入院したが, 以後症状なく経過している. 【症例2】70歳, 男性. 昭和45年よりDMで治療を開始. 平成6年1月, CAPDに導入. 平成6年4月, 腹膜炎を発症し, 平成6年5月よりHDに変更した. 平成6年9月, SEPと診断し, プレドニソロン20mg, シクロフォスファミド50mgを開始した. 以後腹部CT上, SEPは徐々に改善傾向がみられている. SEPは, 発症後, 開腹術, 中心静脈栄養管理などを行っても, 予後不良の合併症と考えられているが, 今回の2例は, 感染症に対し十分に注意しつつプレドニソロン, 免疫抑制薬を使用して良好に経過しており, 治療方法として一考に値すると考えられた.
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