日本透析医学会雑誌
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透析アミロイド関節症に対する少量ステロイド治療の現況 -アンケート集計結果より-
下条 文武木村 秀樹川口 良人
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1998 年 31 巻 1 号 p. 73-78

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抄録

透析アミロイドーシスの関節症状に対する副腎皮質ステロイド薬治療の現況を知る目的で, 厚生省透析医療従事者研修施設, ならびに透析医学会認定施設のうちから各県1施設の計102施設を対象として, アンケート調査を行った. 調査回答件数は78施設 (76.5%) であった. 回答した施設の総透析患者数は10,760名で, 10年以上の透析歴患者は2,912名, 透析アミロイドーシス合併例の総数は1,225名であった. 透析アミロイドーシス合併例を有する施設は68施設で, 透析アミロイド関節痛に対する薬物療法の内訳は, 施行しない施設が68施設中12施設に対し, 施行する施設は56施設で80%以上を占めた. 副腎皮質ステロイド薬 (ステロイド) は, 68施設中33施設 (48.5%) で使用していた. ステロイド治療をうけた症例は140名で全透析アミロイドーシス症例1,225名の11.4%であった. ステロイド治療中の副作用出現については, 33施設中8施設から, 計15例が報告された. 副作用の中で特に注目されるものは, 感染症の3例であり, 1例は死亡し, 他2例も数週間の入院を要していた. 透析患者に対するステロイド治療にあたっては, 感染症などに注意し, かつ, その適応を適切にする必要がある. 本研究班が提案した「透析アミロイド関節症に対する少量ステロイド薬治療指針」は意義あると考えられる.

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