日本透析医学会雑誌
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慢性C型肝炎に対してインターフェロン治療を行った腹膜透析患者の1例
篠原 正彦前嶋 明人雨宮 賢一阿部 由紀子土田 晃靖矢野 新太郎成清 卓二
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1998 年 31 巻 1 号 p. 69-72

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抄録

症例は, 32歳男性. 当院で腹膜透析を受けていたが, HCV抗体陽性であり, 肝機能の悪化および改善を繰り返していた. インターフェロン (IFN) 治療の希望があり入院となった. 一時的に血液透析に移行し, 肝生検施行後, IFNα-2a 600万単位を2週連日投与後, 週2回投与で行った. しかし, 尿量の減少, 不随運動, 鬱症状が見られるようになったため, 合計35回投与後中止とした. 同時に測定していたIFNの血中濃度では, 最高血中濃度の上昇, 連日投与中には, 蓄積も認められた. HCV-RNA定量は, IFN投与前, 105コピー/50μlであったものが, 投与2か月後には, 陰性化し, 中止6か月後も陰性化を継続している. IFN治療は, 投与量を減量し, 副作用に注意して行えば, 腹膜透析患者の慢性C型肝炎に対しても有用な治療法であると思われた.

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