日本透析医学会雑誌
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Plasma value of Endothelin-1/NOx ratio in dialysis patients with erythropoietin dependent hypertension
Yoshihiro MotomiyaHajimu YamadaKiyotaka SugiharaTomonori UchimuraIkuro Maruyama
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1998 年 31 巻 11 号 p. 1393-1398

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抄録

エリスロポエチン (EPO) 依存性の血圧上昇の機序は未だ明らかではない. 本研究で我々は, 主たる血管作動性物質であるET-1, NOxの関与を検討した.
11人の維持血液透析患者についてr-HuEPO治療開始後3か月間のET-1, NOx濃度を経時的かつ同時に測定した. さらに本病態発症に影響すると考えられる血管内皮細胞障害のマーカーとしてthrombomodulin (TM), tissue factor (TF) を測定した.
r-HuEPOを週当たり3,000単位投与3か月後の平均血圧 (MAP) 5mmHg以上の上昇がみられた5例とMAP上昇のみられなかった6例の2群に分けて検討した. 血漿ET-1濃度およびNOx濃度は有意な経時的変動を示さず, また, 2群間でも有意差は示さなかった. ET-1/NOxモル比はMAP非上昇群では低下を示したが有意差は得られなかった (p=0.116). またΔET-1/ΔNOxモル比ではΔMAPと有意な正の相関は得られなかった (r=0.314, p=0.076). さらに, TM, TFは全患者において基準値より高値を示していたが, r-HuEPO投与後の経時的変動, MAPとの関連性は認めなかった.
今回の検討では, r-HuEPO投与後血圧変動へのET-1, NOxの関与は確認できなかったが両物質の重要性は広く認識されておりさらに多症例での検討を加えたい.

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© The Japanese Society for Dialysis Therapy
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