日本透析医学会雑誌
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CAPD患者に対するciprofloxacinの経口投与法に関する検討
米田 尚生堀江 正宣河村 毅西田 泰幸小林 覚篠田 孝伊藤 慎一土屋 博山羽 正義林 秀治
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1998 年 31 巻 12 号 p. 1437-1442

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抄録

CAPD施行中の慢性腎不全患者にCPFXを経口投与し, その血清中および腹膜透析液中の薬物動態を検討し, 理想的投与法をシミュレートした.
CAPD施行中の患者3例に対し, CPFX 200mg単回投与後, 6時間毎にバッグ交換を施行し, 0-48hrまでの血清中および24hrまでの透析液中濃度をHPLCにて測定した. 測定値からone compartment modelで解析したCPFX 200mgの1日2回, 1日3回投与による血清中および透析液中濃度の推移をシミュレートした.
CPFX 200mg単回投与における血清中のCmaxは1.87±0.12μg/ml, Tmaxは1.31±0.47時間, AUC0-∞は18.46±1.83μg・hr/ml, T1/2は6.24±0.52時間であった. 一方, 排液中のCPFX濃度は0-6時間にピークがみられた. また6時間毎の血清中のAUCと透析液中CPFX濃度の相関係数はr=0.877と相関した. CPFX 200mgの12時間毎投与および8時間毎投与のシミュレーションでは, 3日目には定常状態になり, 血清中濃度と透析液中濃度は12時間毎投与の場合は0.75から2.54と0.40から0.96μg/ml, 8時間毎投与の場合は1.45から3.17と0.94から1.15μg/mlであった. またCPFX 200mg 1日2回3日間投与における薬物動態はほぼシミュレートした濃度と一致した. またCAPD腹膜炎の主な起炎菌に対するCPFXのMIC90はほとんど0.78μg/ml以下である.
CAPD患者においては, CPFXの1回200mg 1日2回ないし3回投与で, 十分な血清中および透析液中濃度が得られ, 内服薬として腹膜炎の治療に期待が持てると考えられた.

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