日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析患者における開心術後の薬剤誘発性房室および心室内刺激伝導障害の1例
塩酸ピルジカイニドの透析性についての検討
山口 博一郎山内 秀人橋詰 浩二山岡 憲夫内山 貴堯二ノ宮 日出世
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1998 年 31 巻 2 号 p. 157-163

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抄録

抗不整脈剤であるpilsicainide hydrochlorideの催不整脈作用により房室および心室内刺激伝導障害を起こした1例を経験し, 血液吸着および血液透析による同剤の除去効果についての知見を得たので報告する. 症例は57歳男性, 慢性腎不全に対して血液透析中であったが, 不安定狭心症のため冠動脈バイパス術を施行した. 術後心室性期外収縮に対しmexilletine, disopyramideを使用したが効果がなく, pilsicainide hydrochloride (150mg) を開始した. 不整脈は消失したが, 開始後5日目に突然心電図変化 (PQ延長, QRS幅の増大) が出現し, pilsicainide hydrochlorideの催不整脈作用による房室および心室内刺激伝導障害と診断した. 投薬を中止するとともに緊急の血液吸着と血液透析を施行し, 血中濃度 (有効血中濃度: 0.2-0.9μg/ml) は4.74μg/mlから3.96μg/mlまで減少した. その後合計6回の血液透析を施行し, 発症後14日目の透析後の血中濃度は0.38μg/mlまで減少した. 心電図変化も改善し, 血中濃度と心電図上のPQ時間, QRS幅との間には有意な相関を認めた. Pilsicainide hydrochlorideに対する血液吸着および6回の透析による平均除去率はそれぞれ13.7%, 23.9%で開始後120分でのクリアランスはそれぞれ37.6ml/min, 84.1ml/minであった. また膜前後の血中濃度差から算出した実際の除去量は血液吸着では31mg, 4回目の透析時は8.3mgであり, 各時点における循環血液中の含有量をほぼ除去できたと判断された.

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