日本透析医学会雑誌
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CAPDカテーテル部分置換および出口部変更術の一工夫
枝国 節雄南 浩新宮 正巳
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1998 年 31 巻 6 号 p. 1007-1010

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抄録

抗生物質投与, unroofing, cuff shavingなどでも治癒しないCAPDカテーテル出口部, 皮下トンネル感染および長期間使用によりカテーテルが劣化した症例に対して, 我々はカテーテルに工夫を加えた出口部変更術を試みその有用性を検討した. 対象は難治性CAPDカテーテル出口部あるいはトンネル感染8例と10年に及ぶ長期間使用により出口部のカテーテルが変色, 変形した2例である. 方法は第1カフと第2カフの間に切開を加え感染がないことを確認しカテーテルを切断する. コネクター付延長チューブ (PERI-PATCH REPAIR KIT, Quinton) にダクロンカフ (ハヤシデラ) を適当な位置に取り付け, この置換カテーテルを残存カテーテルに接続しタンネラーを用いて新たな出口部へと誘導する. その結果, 1例は接続部の結紮が強すぎてカテーテルを破損し入れ換えを行い, 低栄養状態のMRSA感染の1例は早期に新出口部に感染が発生したが, その他の症例は手術当日より手術前と同様の透析液交換が続行でき, その後も問題なく経過している. これまでに難治性の出口部皮下トンネル感染に対しカテーテル置換・出口部変更の方法がいくつか報告されているが, 我々の方法はこれらと同様に有用であり, かつ約2-3割の安いコストで施行できた.

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