日本透析医学会雑誌
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血液透析患者の左心機能に影響を及ぼす因子の検討
竹田 篤土肥 まゆみ安藤 亮一千田 佳子井田 隆
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1999 年 32 巻 4 号 p. 261-265

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抄録

血液透析患者130名 (男:女=79:51, 年齢59.8±13.3歳, 透析期間9.6±7.6年, 糖尿病31例) の心機能を心エコー図を用いて検討し, 左心機能障害の頻度とそれに寄与する因子を解析した. 左室肥大は102例 (78%) にみられ, 収縮期高血圧が独立した危険因子であった. 左室腔の拡張は5例 (3.8%) にみられたが, 危険因子は認められなかった. 左室収縮障害は13例 (10%) にみられ, 透析間体重増加, 虚血性心疾患が危険因子であった. 左室拡張障害は48/111例 (43%) にみられ, 高齢が危険因子であった. 血液透析患者では心肥大, 収縮障害, 拡張障害などの左心機能障害が高頻度にみられ, 高血圧, 透析間体重増加, 虚血性心疾患, 高齢などが危険因子となる. したがって, 循環器疾患による死亡率の高い透析患者では, 高血圧治療や食事・水分管理を含めた日常生活の指導が極めて重要である.

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