日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析患者における心血管疾患の発生とACE遺伝子多型の関係について
石光 俊彦太尾 泰雄細谷 和良斎藤 真由美谷仲 肇子鈴木 武志稲田 英毅太田 智吉井 正義明石 真和南 順一小野 英彦馬場 友三郎大場 秀一橋本 玄之八木 繁松岡 博昭
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2001 年 34 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

慢性血液透析患者534例を対象として, 死亡や心血管事故の発生につき2年間の追跡調査を行い, 背景因子, 身体所見やACE遺伝子型を含む検査所見との関係を検討した. 2年間で70例が死亡し, うち33例が脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患によるものであった. 非致死性の心血管事故の発生は99件であった. 死亡に関係する因子としては, 高年齢, 糖尿病, 心血管疾患の既往, 体重増加低値, 胸部X線心胸郭比高値, 心電図異常, 血清アルブミン低値, 血液尿素窒素低値, 血清クレアチニン低値, 血清Na低値, 血清K低値, 血漿アンジオテンシンII高値などが有意であった. 心血管疾患の発症については, 男性, 高年齢, 糖尿病, 心電図異常, 胸部X線心胸郭比高値, 血液尿素窒素低値, 血清Na低値などに加えACE遺伝子型Dアレルが有意な危険因子であった.
透析患者の生命予後については, 食事摂取や運動能などの活動性が良好に保たれていることが重要であると思われた. 心血管疾患の発症に対しては, 高年齢, 糖尿病などの既知の危険因子に加え, ACE遺伝子型Dアレルの存在が寄与することが推測された.

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