日本透析医学会雑誌
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血液透析患者に腸溶性ビフィズス菌製剤を使用した際の栄養評価 urea kineticsを用いる試み
具志堅 夏子兵藤 透杉本 美貴大山 トヨ子山本 スミ子平良 隆保千葉 哲男吉田 一成内田 豊昭遠藤 忠雄馬場 志郎酒井 糾日台 英雄
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2001 年 34 巻 2 号 p. 119-124

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抄録

血液透析患者20人を対象とし腸溶性マイクロカプセルビフィズス菌製剤を服用させその有用性を検討するために, PCR (protein catabolic rate), Kt/V, TACBUN (time averaged concentration of blood urea nitrogen) 等のurea kineticsによる指標を用いて栄養評価を行った.
対象の年齢は56.1±11.8歳 (平均±標準偏差, 以下同じ), 透析歴は6.5±4.5年であった. 方法は本剤の服用2週間前から市販乳酸菌製品の摂取を制限し, 4週間1日1包 (0.9g) 服用, その後20週間は乳酸菌製品の摂取制限を解除し同様に服用させた. PCR, TACBUN, 塩分摂取量, カリウム摂取量, 摂取エネルギー, 血清クレアチニン, アルブミン, 総蛋白, 総コレステロールおよび便通の自覚症状の変化を0, 2, 4, 6, 8, 24週の時点で検討した.
PCR, TACBUN, 摂取エネルギーは0週目に比し2週目と24週目で有意に上昇し, 自覚症状は全体的に改善傾向が認められた. アルブミン, 総蛋白, 総コレステロールには有意な変化は認められなかった.
腸溶性マイクロカプセルビフィズス菌製剤は血液透析患者の栄養状態の改善に対し有用である可能性が示唆されたが, 今後症例数を増やしてさらなる検討が必要と思われた.

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