日本透析医学会雑誌
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カテーテル出口部石鹸洗浄の効果
佐藤 明美坂田 祐子大隅 知子鈴木 静江寺田 章子村松 豊子古谷 隆一
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2001 年 34 巻 3 号 p. 169-172

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抄録

完成した出口部 (挿入部の表皮ダウングロスが完成し浸出液も出ない状態のカテーテル出口部) は創ではなく皮膚であり, 日常の出口部ケアもスキンケアの立場から行う必要がある. スキンケアの原則は皮膚を清潔に保つことであるので, 石鹸洗浄で出口部ケアを行いその有効性について検討した.
ポビドンヨード消毒単独で出口部ケアを行っていたCAPD患者 (N=20) の出口部ケアに石鹸洗浄を追加した. このケア方法での出口部・トンネル感染の発生頻度は0.09回/患者・年 (観察期間21.1±3.1か月) で, ポビドンヨード消毒単独で出口部ケアを行っていた場合 (発生頻度0.91回/患者・年, N=33, 観察期間24か月) に比べ有意に低下した (p<0.01). 次に, 出口部ケアをポビドンヨード消毒を行わずに石鹸洗浄のみのケア方法に変更した (N=16). この方法での出口部・トンネル感染の発生頻度は0.11回/患者・年 (観察期間11.7±1.6か月) で, ポビドンヨード消毒を併用した出口部ケアでの発生頻度 (0.12回/患者・年, 観察期間18.1±3.2か月) と差はなかった (p=0.626).
完成した出口部の日常のケアには出口部石鹸洗浄は有効な方法であり, ポビドンヨード消毒は必ずしも必要でないことが示唆された.

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