日本透析医学会雑誌
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透析患者における血中オステオカルシン (OC) のGla化に与えるビタミンK2の影響
高橋 恵子小岩 文彦衣笠 えり子出浦 照國
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2001 年 34 巻 4 号 p. 237-242

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抄録

血液透析患者にビタミンK2 (VK2) を3か月間投与し, 投与前後の骨代謝マーカーを比較検討した. 対象は安定期透析患者21例, 全例女性, 平均年齢56.4±9.6歳, 平均透析期間12.7±5.9年, 原疾患は慢性糸球体腎炎18例, その他3例であった. 21例をVK2投与群15例, 非投与群6例に分類し, 投与前, 投与1か月後, 3か月後のγ-カルボキシル化オステオカルシン (Gla-OC), 非カルボキシル化オステオカルシン (Glu-OC), intact-PTH (i-PTH), 骨型アルカリホスファターゼ (骨型ALP) を測定した. 結果は, 1) i-PTHとGla-OC, Glu-OCはいずれも有意な (p<0.01, p<0.01) 正の相関 (r2=0.65, r2=0.51) を示した. 2) VK2投与後Gla-OCは1か月後, 3か月後で有意に上昇 (p<0.01, p<0.01) し, Glu-OCは1か月後, 3か月後で有意な低下 (p<0.01, p<0.05) を示した. 3) Gla-OCとGlu-OCから算出したGla化率はVK2投与に伴い有意に (p<0.01) 上昇したが, 投与開始時のi-PTHによる差や活性型ビタミンD製剤の併用による影響は認められなかった. 以上の結果から, 血液透析患者においてVK2は, OCのGla化を介して骨代謝を改善させる可能性を有する薬剤と考えられた.

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