日本透析医学会雑誌
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Fresenius社製個人用透析装置4008SのBVMを指標とした除水コントロール機能の有用性
芝田 正道天野 雄介坂上 貴光金子 岩和木全 直樹峰島 三千男秋葉 隆二瓶 宏
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2002 年 35 巻 10 号 p. 1337-1342

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抄録

Fresenius社製個人用透析装置4008Sのblood volume monitor (BVM) による除水コントロール機能 (BVM-HD) を8症例に対し施行し, 相対血液量 (relative blood volume: RBV) の変動や血圧の推移を均等除水 (Normal-HD: N-HD) と比較した. 今回, 治療中におけるRVB変動の指標の一つとしてplasma refilling rate (PRR) をultrafiltration rate (UFR) で除した値 (PRR/UFR値) を用いた. この指標によりUFRが連続的に変化する本治療法においても, 除水コントロールに対するPRRやRBVへの影響を客観的に評価できると考えられた. PRR/UFR値 (mean±SD) の全体の平均値は, BVM-HDおよびN-HDでそれぞれ, 0.83±0.02, 0.72±0.03 (p<0.01) とBVM-HDがN-HDに比較して高値を示したことから, RBV低下に対する除水コントロール機能の有用性が示唆された. また透析終了時の最終RBV値はBVM-HDおよびN-HDでそれぞれ0.79±0.04, 0.76±0.07 (NS) と有意差は得られなかったものの, BVM-HDがN-HDに比べ高値を示した. 血圧の推移は, 治療条件の相違による影響が否定できないが, 治療後半の血圧低下に対してBVM-HDが有効と思われる症例もみられた. これらの結果から, 治療後半において血圧低下をきたす患者に対して, 4008Sの除水コントロール機能によるBVM-HDは, 血圧の安定化が図れる可能性が示唆された. 今後の課題として, BVMによる除水コントロール機能をさらに有効に活用するために, 患者個々に対し治療開始時における適切な除水速度 (UFRSET) の設定や相対血液量限度値 (critical-relative blood volume: C-RBV) 定義法の確立が望まれる.

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© 社団法人 日本透析医学会
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