日本透析医学会雑誌
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35 巻 , 10 号
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  • 小西 修二, 喜田 智幸, 小西 秩英子, 松本 正典, 福田 淑子, 多鹿 順子, 伴 孝仁, 松川 誠, 竹下 薫, 福井 幸子, 近藤 ...
    2002 年 35 巻 10 号 p. 1321-1326
    発行日: 2002/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    生体電気インピーダンス法を用いたbody composition analyzer (BCA) による透析患者の体液変動の検討を行った. 対象は当院の血液透析患者64例である. 方法は除水量とBCAで測定される血液透析 (HD) 前後の総水分 (TBW) 変化量の比較を行った. また, BCAによる分析前13回のHD中に全く血圧低下に対する処置が必要なかった29例をコントロールとし, 5回以上の処置が必要であった35例を低血圧群と2群に分類し体液変動について検討を行った.
    まず, 除水量とHD前後のTBIN変化量の比較については両者が大きく異なる結果であった. われわれは, この両者が等量にならなかった原因をHD前の総脂肪量 (TBF) はHD後の測定値を使用することが妥当との仮説を立て, HD前の除脂肪体重 (LBM), 総体液量 (TBW), 細胞内液量 (ICW), 細胞外液量 (ECW) に補正を行った. その結果, 除水量とTBW変化量は非常に良く近似 (r=0.94, y=0.98x+0.05) したため, 以後の検討はこの仮説に基づき, われわれが考案した補正式を使用し検討を行った.
    ECW変化率とICW変化率の関係ではコントロール群, r=0.7, y=-0.24x-0.56, 低血圧群, r=0.87, y=-0.4x+6.08で2群ともに負の相関関係を認めた. この結果はECWの減少によりICWが増加していることを表し, その傾向は低血圧群に強く認められた.
    透析中の低血圧の原因がplasma refilling rate (PRR) の低下だけではなく, HD中にECWから, ICWへの水分の移行により低血圧を発症している症例が存在することを示唆している. 以上のことからBCAを用いることにより, 低血圧の原因究明とその原因に応じた適切な対処が可能と思われた.
  • 丸 典夫, 吉田 一成, 平井 祥司, 斎藤 毅, 志村 哲, 内田 豊昭, 馬場 志郎
    2002 年 35 巻 10 号 p. 1327-1331
    発行日: 2002/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    目的: われわれが以前に報告したように血液透析患者に発生した膀胱癌はhigh grade, high stageが多く予後は悪い. 今回われわれはこれら2例の患者の長期予後に加え, 新たに4例の血液透析患者に発生した膀胱癌の患者を経験したので, 血液透析患者に発生した膀胱癌特有の問題点につき診断, 治療の面から若干の考察を加えて報告する. 方法: 1980年4月から2001年3月までの期間に北里大学泌尿器科において外科的治療を施行した血液透析患者に合併した膀胱癌の患者6例について検討した. 性別は男性5例, 女性1例で, 平均年齢は64歳, 平均透析歴は35か月, 主訴は全例肉眼的血尿で, 初回手術療法として全例に経尿道的膀胱腫瘍切除術 (TUR-Bt) を施行した. 結果: 術前の尿細胞診でclass Vを呈した患者4例はTUR-Btでの病理組織学診断はいずれもgrade II以上であった. 6例中2例の患者は膀胱癌の進行により死亡し (病理診断は移行上皮癌>腺癌, grade III, pT2と偏平上皮癌>移行上皮癌grade II>腺癌, pT4), 1例は術後合併症による敗血症にて死亡した (病理診断は移行上皮癌, grade II, pT3a). 3例の患者 (1例は3回のTUR-Btを施行され病理診断は移行上皮癌, grade I, pT1, 他の2例はいずれもTUR-Btを1回施行され病理診断は移行上皮癌, grade I, pTaと移行上皮癌, grade II>1, pTa) は術後平均観察期間51か月にて生存中である. 結論: 血液透析患者に合併した膀胱癌は発見された段階ですでにhigh grade, high stageの腫瘍が多く, 手術予後は不良である. これらの患者の予後を改善するには, 膀胱洗浄液の細胞診や膀胱鏡などによる積極的なスクリーニング検査を施行し早期発見を心がけることが最も重要であると考えられた.
  • 梅木 いずみ, 大山 美津恵, 深尾 涼子, 廣瀬 さき子, 小玉 勝美, 稲田 俊雄, 彰 一祐, 福井 光峰, 富野 康日己
    2002 年 35 巻 10 号 p. 1333-1336
    発行日: 2002/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高齢化に伴い透析施設ではセルフコントロール等にさまざまな問題を抱えているのが現状である. 特に外来透析施設では在宅情報を正確に把握することは難しく, 実生活に即した援助や指導が不十分である. また, 高齢化によって日常生活や通院困難などの理由から社会的入院を余儀なくされるケースも多い. しかしながら, 高齢者のQOLを考えた場合在宅ケアが望ましく, 実際そのような希望も多いことから, 今後さらに在宅での要介護透析患者は増えていくものと予測される. 近年, 在宅医療のニーズが高まりつつあるなか, 当クリニックでは外来施設として特に高齢化問題に可能な限り対処すべく, 的確な患者情報の収集および効果的な指導の実施を目的に透析室付属の訪問看護室を併設した.
    今回その訪問看護を導入し, 自己管理不良の患者に対する指導や援助を実施するうえで有用であることが臨床的パラメーター (体重増加率, 透析時における処置回数, 服薬コンプライアンスの指標としての血清Ca, P値およびCaCO3投与量の推移など) を通して客観的に示された. さらに, 透析室と付属の訪問看護室との連携が的確な患者情報の収集および共有を可能にし, 迅速な問題解決や患者との信頼関係の形成など看護の継続性を実現する上でも有意義であると思われた.
  • 芝田 正道, 天野 雄介, 坂上 貴光, 金子 岩和, 木全 直樹, 峰島 三千男, 秋葉 隆, 二瓶 宏
    2002 年 35 巻 10 号 p. 1337-1342
    発行日: 2002/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Fresenius社製個人用透析装置4008Sのblood volume monitor (BVM) による除水コントロール機能 (BVM-HD) を8症例に対し施行し, 相対血液量 (relative blood volume: RBV) の変動や血圧の推移を均等除水 (Normal-HD: N-HD) と比較した. 今回, 治療中におけるRVB変動の指標の一つとしてplasma refilling rate (PRR) をultrafiltration rate (UFR) で除した値 (PRR/UFR値) を用いた. この指標によりUFRが連続的に変化する本治療法においても, 除水コントロールに対するPRRやRBVへの影響を客観的に評価できると考えられた. PRR/UFR値 (mean±SD) の全体の平均値は, BVM-HDおよびN-HDでそれぞれ, 0.83±0.02, 0.72±0.03 (p<0.01) とBVM-HDがN-HDに比較して高値を示したことから, RBV低下に対する除水コントロール機能の有用性が示唆された. また透析終了時の最終RBV値はBVM-HDおよびN-HDでそれぞれ0.79±0.04, 0.76±0.07 (NS) と有意差は得られなかったものの, BVM-HDがN-HDに比べ高値を示した. 血圧の推移は, 治療条件の相違による影響が否定できないが, 治療後半の血圧低下に対してBVM-HDが有効と思われる症例もみられた. これらの結果から, 治療後半において血圧低下をきたす患者に対して, 4008Sの除水コントロール機能によるBVM-HDは, 血圧の安定化が図れる可能性が示唆された. 今後の課題として, BVMによる除水コントロール機能をさらに有効に活用するために, 患者個々に対し治療開始時における適切な除水速度 (UFRSET) の設定や相対血液量限度値 (critical-relative blood volume: C-RBV) 定義法の確立が望まれる.
  • 稲津 昭仁, 清水 潤, 大江 良子, 大嶋 智, 大道 雄一郎, 久保田 孝雄
    2002 年 35 巻 10 号 p. 1343-1347
    発行日: 2002/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】増大する血液透析患者の高齢化ならびに長期生存化に伴い内シャント作成・維持の困難な症例や, 心不全合併症例が増加している. そこで長期留置型カテーテルが選択使用される機会も増加しているが, 長期留置を可能とすべく至適留置位置や血栓閉塞の問題は明解ではない. 今回われわれは長期留置型カテーテル (SOFT-CELL) を5症例に長期 (継続中の, 35/16/15か月を含め) に安定使用し, その特徴を解析したので報告する. 【対象】年齢は55歳から94歳, 内シャント作成困難例4症例, 頻回シャントトラブル例1症例 (全例がnegative selection). 観察期間は6-35か月. 【方法】SOFT-CELLはいずれもDacron cuffが血管刺入部に近いタイプを選択した. 血管造影室で清潔操作下に右内頸静脈に挿入. 4例に19cm; 12.5 Frを, 1例に12cm; 12.5 Frを選択使用. 留置位置決定に (1) カテーテル造影, (2) 経皮血管エコーを施行し上大静脈から右房にかけ各部位の血流速度を測定, (3) 透析効率を評価した. 【結果】返血側先端が右房開口部近傍に留置された3症例は, 留置直後から脱・返血良好であり, 全例開存中である. 一方, 留置が高位の2症例は脱血不良となり, 1症例は抜去, 1症例はAV逆使用することとなった. 血流速度は右房開口部位で上大静脈高位部に比べ, 20-60cm/sec緩徐であった. Kt/Vは1.14-1.32を維持できた. 【考察】長期留置型カテーテルの留置位置は右房開口部が最良で, それには血管径, 呼吸による血管径変動およびカテ先端の血流速度が透析効率性や恒久性に寄与するものと推察された. また, 至適留置の選択はさらなる長期透析を可能にすると思われた.
  • 美馬 晶, 橋本 泰樹
    2002 年 35 巻 10 号 p. 1349-1353
    発行日: 2002/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腹膜機能を評価する方法として腹膜平衡試験 (PET) が用いられているが, 外来での定期的な施行はその煩雑さゆえ困難である. PETよりも簡便なFAST PETという方法があるが, 残液量が多い場合には通常のPETとの比較が困難である. 今回, われわれは患者自身が行うことができ, 医療者側にも手がかからないPET検査法 (Home PET) を考案し, その有用性について検討した. Home PETの施行に際し, 患者へ施行手順の教育が必要であったが, これにはデジタル画像入りのパンフレットとビデオを渡すことで省略できた. 約200mLと約10mLの貯留量を示すラインを示した型紙に注液前の注液バッグをのせ, マーキングした. 8時間から12時間腹腔内に貯留しておいた透析液を排液した後, すぐに2.5%, 2Lの透析液を注液し, そのうちの200mLを先にマーキングしてあるラインまで排液した. 攪拌した後, 注液バッグの左角に記した10mLの貯留量を示すラインまでの液を残し, 約190mLを再び腹腔内に注入した. 4時間後に新たなツインバッグに排液をし, サンプリングを行うことでHome PETを施行した. これを, 別の日に施行したStandard PETの結果と比較した (N=9). Home PETによるD/D0の平均値は0.387±0.059であった. 一方, Standard PETによるD/D0の平均値は0.38±0.053となり, 両者間に有意な相関を認めた (r=0.874 p=0.0009). 排液量に関しては, Home PETの平均値は2336±136.5mLでありStandard PETの平均値は2376±97.2mLとなった. これについても両者間に有意な相関を認めた (r=0.814 p=0.0053). またStandard PET, Home PETの残液量においては70mL-484mLとばらつきが認められた. さらにHome PETは採血を行わず患者本人が来院しなくて良い点などの利点がある. Home PETはStandard PETの代用となりうることが可能で, 従来のPET dataを生かしながらデータの蓄積を容易に行うことができる.
  • 高原 健, 宇津 貴, 倭 成史, 高 美恵, 山内 淳
    2002 年 35 巻 10 号 p. 1355-1358
    発行日: 2002/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者に発症した特発性食道破裂の1例を経験した. 症例は64歳男性, 1990年より慢性腎不全にて血液透析を施行中であった. 2000年3月16日夕方より嘔気があり, 深夜激しい嘔吐後に右胸背部痛および吐血を認めた. 近医に救急搬送され, 胸部単純X線上右胸水貯留を認めたため, 解離性大動脈瘤を疑われ当院に転院となった. 入院時, 頻呼吸と右背部痛を認め, 胸部CT上にて右側の胸水と気胸および縦隔気腫を認めた. 右胸腔ドレーンからairと多量の食物残渣の排出があったため食道造影を施行. 食道から縦隔, 右胸腔へ造影剤の漏出を確認したため, 食道破裂と診断し, 緊急開胸術 (右開胸洗浄ドレナージ, 胸部食道切除, 頸部食道瘻造設, 胃瘻造設) を施行した. 現在は退院し, 近医で維持透析中である. 特発性食道破裂は稀な疾患であるが, 診断の遅れから致死的経過をたどることもあるため, 初期診断が重要である. 透析患者の胸背部痛や呼吸困難の鑑別診断に, 本疾患も念頭に置くべきであると考えられた.
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