日本透析医学会雑誌
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膵管内乳頭腫瘍を合併した透析患者の3例
小野江 為人中島 昭勝東福 要平松田 充若林 時夫
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2002 年 35 巻 11 号 p. 1459-1463

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抄録

維持透析患者において臨床的に問題となる膵疾患の頻度は多いものではない. しかし末期腎不全患者の剖検例において, 高率に膵疾患が認められるとの報告もある. われわれは当院の維持透析患者75名のなかで, 膵管内乳頭腫瘍を合併した3例を経験した. 症例は男性1名, 女性2名. 年齢は72歳から86歳. 透析歴は3年から7年. 原疾患は糖尿病性腎症2名. 腎硬化症1名であった. いずれの症例も無症状であったが, 透析導入期前後にルーチンの検査で嚢胞性膵腫瘍が偶然みつかった. いずれの症例においても発見時には積極的に悪性を疑わせる所見に乏しく, 無症状のため保存的に経過観察されていた. しかしそのうちの1例は腫瘍の実質浸潤による閉塞性黄疸を合併し死亡した. 剖検は得られなかったが, 膵病変は膵管内乳頭腺癌に由来する浸潤癌と考えられた. 膵管内乳頭腫瘍は腎不全もしくは透析患者に併発しやすい合併症の可能性が示唆された.

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