日本透析医学会雑誌
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長期血液透析患者の食生活の実態 -日本腎臓学会 「血液透析患者の食事療法に関するガイドライン」 との比較-
渡辺 浩志岡田 佳子森 雅弘前田 貴司丹治 英裕伊吹 尚久辰川 自光谷口 良彦丸林 誠二浅原 利正
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2002 年 35 巻 3 号 p. 171-175

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抄録

血液透析歴15年以上の22名を長期透析患者とし, これと年齢, 性, 原疾患を合致させた透析歴2年以上10年未満で無尿の透析患者50名を一般透析患者として, 栄養状態および臨床指標, 透析条件を比較した. また長期透析患者の実際の食事内容を日本腎臓学会の「血液透析患者の食事療法に関するガイドライン」と比較検討した. 一般透析患者との比較では, Kt/V for ureaは一般透析患者1.39±0.25に対し長期透析患者1.63±0.22, またKt/V for β2-microglobulinは一般透析患者0.86±0.44に対し長期透析患者で1.21±0.41で, いずれも長期透析患者で大きかった (p<0.001). 蛋白異化率 (nPCR) は一般透析患者0.99±0.17g/kg/日に対し, 長期透析患者で1.10±0.16g/kg/日と高かった (p<0.05). ガイドラインとの比較では, 長期透析患者の摂取エネルギー量は34.4 (95%信頼区間32.0-36.9) kcal/標準体重kg/日と多めな印象であったが, body mass index (BMI) は平均20.0 (19.1-20.9) とガイドラインでの標準22より少なかった (p<0.001). 実際の栄養摂取の内訳をガイドラインと比較すると, 蛋白質は1.32 (1.24-1.40)g/標準体重kg/日と多く (p<0.01), カリウムは1.73 (1.57-1.90)g/日と多く (p<0.01), りンは925 (840-1010)mg/日と多く (p<0.001), カルシウムは449 (373-525)mg/日と少なく (p<0.001) 摂取していた. すなわち, 長期透析患者は比較的透析量の多い血液透析を行う一方で, 炭酸カルシウムを服用してリンを抑えながら, ガイドラインより少ないカルシウムとより多くの蛋白質を摂取していた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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