抄録
慢性透析患者の筋痙攣に対し, 芍薬甘草湯の服用が有用であるとの報告がされている. 今回われわれは, この筋痙攣に対する芍薬甘草湯の有効性をみるとともに, 芍薬甘草湯の至適服用法を検討した. 対象は, 透析中および透析後に筋痙攣を経験したことのある慢性透析患者38名とし, 筋痙攣の頻度に応じた服用方法を検討した. 服用法は, 筋痙攣時に頓服服用, 透析開始時に服用, 1日3回定期服用の3通りで検討した. 筋痙攣の強さが減弱したものは38例中21名 (55%), 筋痙攣の時間が短縮したものは27名 (71%), 筋痙攣の頻度が減少したものは21名 (55%) であった. 筋痙攣の強さ, 時間, 頻度のいずれかが改善し, 有効とされた症例は32名 (81%) であった. 有効例32名中26名 (81%) は, 筋痙攣時の頓服による服用が有効であった. また, 筋痙攣の頻度の多かった3名は, 1日3回の定期服用が有効であった. 今回の検討により, 慢性透析患者の筋痙攣に対する芍薬甘草湯の有効性は高く, また頓服の服用法が効果的なことが多いと考えられた.