日本透析医学会雑誌
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週間クレアチニン除去量を用い血液透析腹膜透析併用療法時の適正透析治療計画を行った2例
内山 浩一土田 昌弘岸 弓景藤川 公樹河村 英文高井 公雄内藤 克輔米田 勇須賀 昭信竹本 雅彦
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2003 年 36 巻 1 号 p. 73-79

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抄録
異なった治療法である血液透析と腹膜透析を併用する, いわゆるHD+PD併用療法では透析量の定量が問題となる. 今回, HD+PD併用療法時の透析量を週間クレアチニン除去量 (Mw: mass of creatinine removed per week) として評価した. また腹膜透析患者の予後が良いとされる週間クレアチニンクリアランス60L/week 1.73m2に見合う週間クレアチニン除去量を適正週間クレアチニン除去量 (ideal Mw) とし, ideal Mwを満たし血液透析間の体重増加がドライウェイトの5%以内かつ3kg以内となる治療法を適正透析と定義した. 残腎機能による週間クレアチニン除去量, 血液透析による週間クレアチニン除去量を測定し, 腹膜透析によるクレアチニン除去量については, 腹膜機能解析ソフトPDAdequest ver. 2.0上のシュミレーションで予測クレアチニン除去量や予測除水量を算出し, 可能であれば総週間クレアチニン除去量がideal Mwを超えるような処方を選択した. ideal Mw算出はPDAdequest ver. 2.0上で可能であった. 血液透析よりHD+PD併用療法へ移行した2症例について上記の方法で治療計画をたて治療を行ったところ, 血液透析間の3kg以上の体重増加, 腹膜休息時の臨床検査値の危険な上昇は認められなかったが, 腹膜休息の日数を多くすると透析不足となる可能性が高いことが示唆された. 治療計画時の予測腹膜透析除水量と予測腹膜透析クレアチニン除去量は実測値とほぼ一致した. 今回示した治療計画のたてかたは比較的簡便であり有用であると考えられた.
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