日本透析医学会雑誌
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血液透析導入時に粟粒結核が顕性化した末期腎不全患者の1例
伊與田 雅之林 文宏黒木 亜紀柴田 孝則北澤 孝三杉崎 徹三酒井 紀
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2003 年 36 巻 4 号 p. 273-277

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抄録
症例は80歳の男性で, 2001年7月23日に高血圧性腎硬化症による末期腎不全のため入院し, 第2病日に血液透析を導入した. 入院時より原因不明の発熱と炎症反応高値が持続し, 抗生物質を投与したが, 改善傾向は認めなかった. 第14病日の胸部X-Pにて透析導入前に認めなかった細粒状陰影が両肺野散在性に出現し, 喀痰検査にて開放性結核の診断を得た. 粟粒結核と診断し抗結核療法を開始, 第29病日に結核専門病院に転院した. 経過は良好であったが, 約2か月後に突然死した. 透析患者の結核, 特に粟粒結核の罹患率, 死亡率は一般結核患者と比較すると明らかに高いことが知られている. 透析患者は免疫能が低下しており, 結核が疑われた場合には時期を逸せず早期より抗結核療法を開始するべきである.
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© 社団法人 日本透析医学会
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