日本透析医学会雑誌
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維持透析患者における血糖コントロール指標に関する検討 グリコヘモグロビンとグリコアルブミンの関係
岡田 知也松本 博韓 明基篠 朱美長岡 由女竹口 文博外丸 良岩澤 秀明和田 憲和権藤 麻子中尾 俊之
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2005 年 38 巻 1 号 p. 31-39

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抄録
近年, 糖尿病透析患者においてグリコアルブミン (Glycated albumin; GA) がグリコヘモグロビン (HbA1c; A1c) に代用し得る有用な血糖コントロールの指標であるという報告が散見される. 非糖尿病患者も含めて, 維持透析患者におけるA1cとGAの両者の関係を知るために, GA/A1c比をみることにより検討した. 対象は血液透析 (HD) 患者86名 (糖尿病 (DM) 50名, 非糖尿病 (nDM) 36名), 腹膜透析 (PD) 患者33名 (DM 6名, nDM 27名). 同時に検査されたGAとA1c, GA/A1c比, 他の臨床指標との関係について検討した. DM-HD患者, nDM-HD患者, nDM-PD患者においてGAと随時血糖の間に有意な正相関を認めたが (r=0.42, 0.51, 0.44, p<0.01, 0.01, 0.05), A1cと随時血糖の相関はいずれの患者群において有意ではなかった. A1cとGA間の相関はDM-HD患者において有意だった (r=0.64, p<0.001). HD患者のGA/A1c比はDM 4.0±0.6, nDM 3.7±0.5だった. PD患者のGA/A1c比はHD患者に比し有意に低値だった (PD患者全体2.3±0.5, vs HD患者全体p<0.001). DM-HD患者, nDM-HD患者, nDM-PD患者においてGA/A1c比が高い群においてエリスロポエチン (EPO) 投与量が多い傾向を認め, 血清アルブミン濃度やPD患者における蛋白喪失量との関連は認めなかった. 結論として, 血液透析患者においてA1cはGAに比して高血糖状態を過小評価する傾向にある. 一方, 腹膜透析患者ではGAはA1cに比して相対的に低値となり, 高血糖状態を過小評価する傾向になる. GA/A1c比が高い患者はEPO投与量が多い傾向にあったが, GA, A1c, GA/A1c比を規定する要因として短期的な血糖コントロールの変化, 赤血球とアルブミンの代謝回転も考慮する必要がある.
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© 社団法人 日本透析医学会
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