日本透析医学会雑誌
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維持透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症に対するマキサカルシトールの静注・副甲状腺内局注併用療法の検討
前田 益孝神田 英一郎桑名 仁棚瀬 健仁小林 隆彦椎貝 達夫
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2005 年 38 巻 1 号 p. 41-50

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抄録

近年開発されたマキサカルシトール (OCT) はカルシトリオールに比し, 高Ca血症をきたしにくいビタミンD製剤であり, 静注投与が一般的であるが, 副甲状腺への局注療法も有効とされている. しかし, 静注投与では血清Ca値の上昇をきたすために投与量が制限され, 充分な副甲状腺ホルモンの抑制が得られない例があり, また局注療法は集中的に連日ないしは隔日投与が必要とされ, 通院患者への適用は困難である. われわれはOCTの静注にもかかわらず, 副甲状腺ホルモンの充分な改善が得られず, 高Ca血症などのためにOCTの増量が困難であり, エコー上, 副甲状腺の腫大を認めた維持透析患者12名 (男5人, 女7人) に対し, OCTの静注療法は継続したまま, 副甲状腺内にOCTを間欠的に局注し, その併用効果を検討した. 12人の平均年齢は59.8±1.8歳, 平均透析歴は159.4±24.5か月, 血液透析11名, 血液・腹膜併用透析1名, 血清intact PTH値は555±78pg/mL, 平均腫大腺数は1.6腺で容積は1.3±0.4cm3であった. これらの症例に対し, エコーガイド下, 腫大副甲状腺内にOCT 10μgを局注した. 半年間のPIT回数は平均2.3 (1-6)回/症例であった. 全例で経過中, 12mg/dLを超える高度な血清Ca上昇はなく, 反回神経麻痺等の重篤な副作用もみられなかった. 12人中, 11人では一時的または永続的な副甲状腺ホルモンの低下がみられ, 初回局注より半年の時点で40%以上のintact PTH値の低下が得られたのは5例であったが, 他の症例に比し, 有意な臨床的相違はみられなかった. 1例は局注にても副甲状腺ホルモンの低下がみられず, 副甲状腺摘出術に至った. 以上からOCTの静注に副甲状腺内局注を併用する治療は透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症に対し, 治療選択肢のひとつになりえると考えられた.

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