日本透析医学会雑誌
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維持血液透析患者におけるsevelamer hydrochlorideの単独投与の効果の検討
大野 晃大石 秀人藤田 豊丸山 彰一伊藤 晃山崎 親雄
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2005 年 38 巻 2 号 p. 111-116

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抄録

維持血液透析患者における, sevelamer hydrochloride (以下sevelamer) の効果について検討した. 週3回, 4時間以上の維持血液透析を1年以上施行しており, Pi 5.5mg/dL以上, 補正Ca 9.5mg/dL以上の, 炭酸カルシウムを内服している患者20例 (男性15例, 女性5例) を対象とした. 炭酸カルシウムおよびその他のリン吸着剤はすべて中止し, sevelamerを8週間投与した. sevelamerの初期投与量および増減は, 原則として添付文書に従い, 消化器症状等の副作用も考慮して決定した. リン吸着剤変更の4週間前を含む12週間を観察期間とし, 観察期間内は, 透析条件と, ビタミンD製剤などのCa, Piに影響を与え得る薬剤の投与量は変更しなかった. 観察期間内に, 4例が副作用にて脱落した. 8週間sevelamerの投与を継続しえた16名について, 血清Pi, Ca, ALP, intact PTH (i-PTH), 総コレステロール (TC), LDLコレステロール (LDL-C), HDLコレステロール (HDL-C), HCO3-を経時的に測定した. Pi, Ca×Pi積, およびHDL-Cは, 有意な変化は認められなかった. Ca, TC, LDL-C, HCO3-は有意に低下した. ALP, i-PTHは有意に上昇した. sevelamerの単独投与によって, 炭酸カルシウムと同程度のPiコントロールが得られたが, 副作用等で十分な増量ができない症例もあった. いかにして, 副作用をコントロールして十分な量を投与し, また, 他のリン吸着剤と併用していくかが, 今後の課題である.

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