日本透析医学会雑誌
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ネコ咬傷後のパスツレラ感染症により内シャント動脈瘤の破裂をきたした1例
栫井 成彦浅野 友彦伊藤 敬一中村 宏早川 正道
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2006 年 39 巻 7 号 p. 1265-1268

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抄録
28歳の男性. 2003年5月, 以前から指摘されていた左内シャント動脈瘤をネコに咬まれ受傷した. 左前腕部の腫脹, 熱感, 疼痛のため当科を受診した. 来院時, 動脈瘤の直上に2箇所の咬傷を認め, 内シャントは完全に閉塞していた. 蜂窩織炎の疑いで緊急入院となった. amikacin, piperacillin, clindamycinを併用し, γ-グロブリンを投与した. 後日, 創培養からパスツレラが検出されたためpanipenem/betamipronとminocyclineの併用に変更した. 炎症反応は改善傾向にあったが, 22病日に動脈瘤が突然破裂した. 用手的に圧迫止血し, 緊急に内シャント動脈瘤切除を施行した. 28病日に左肘部に内シャントを再建し, 維持透析を行っている. ネコ咬傷後のパスツレラ感染症は増加しているが, シャント感染をきたした報告例は世界初と思われる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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