抄録
アルツハイマー病の診断・治療のパラダイムシフトが行われ,抗アミロイド抗体であるAducanumab
が最初の疾患修飾薬として米国で承認された.アミロイドを標的とするさらに優れた抗体
医薬の治験が次々と行われており,アルツハイマー病の治療薬となると予想される.抗体医薬は比較
的安全性は高く各種疾患の治療薬として確立されているが,あまりに高価であり保険制度が崩壊する
のではないかと懸念される.従って,やがて安全かつ安価な能動免疫療法にとってかわると予想され
る.筆者らが開発してきた組換えウイルスベクターは安全性の面でハードルが下がってきており,今
後実用化に向けた開発研究の進展が望まれる.