日本臨床外科学会雑誌
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原著
腹腔内洗浄細胞診陽性胃癌の予後因子の検討
岩下 俊光末原 伸泰阿南 敬生西原 一善阿部 祐治玉江 景好阿部 英二豊島 里志光山 昌珠
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2010 年 71 巻 3 号 p. 619-626

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抄録

肉眼的腹膜播種のない腹腔内洗浄細胞診陽性(P0cy1)ss以深胃癌の予後因子について検討した.腹腔内細胞診陽性率はP0 5.4%,P1 67%,ss 10% se 40% si 29%であった.ss以深胃癌987例のうちP0cy1胃癌は86例で,P0cy0,P0cy1,P1のMST(生存期間中央値),1年,2年,3年,4年,5年生存率は1678日,83%,70%,58%,51%,48%,446日,56%,30%,21%,14%,9.6%,244日,36%,18%,11%,3%,2%であった.P0cy1の予後はP0cy0とP1との中間に位置している.P0cy1胃癌の予後因子は単変量解析では肉眼分類,肝転移,リンパ節転移度,転移リンパ節個数,リンパ節郭清度,PM,DM,間質,INF,リンパ管侵襲,細胞診の細胞数,細胞診の細胞の大きさ,術後化学療法,化学療法の14因子であったが,多変量解析ではDM,リンパ節郭清度,術後化学療法の3因子であった.P0cy1ss以深胃癌の予後は不良だが,切除断端を陰性にし,D2以上のリンパ節郭清を行い,術後化学療法を行うことができれば予後が良好なことが期待される.

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© 2010 日本臨床外科学会
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