抄録
発作性心房細動(AF)に対する多剤抗不整脈薬療法の予防効果をエナラプリル(5mg/日)ならびにプラバスタチン(10mg/日)併用の有無で比較した.対象は12ヵ月以上の追跡調査が可能であった発作性AF319例(男性221例,女性98例,年齢68±10歳)であり,プラバスタチン併用(-)ならびにエナラプリル併用(-)群(I群,n=191),プラバスタチン併用(-)ならびにエナラプリル併用(+)群(II群,n=81),プラバスタチン併用(+)ならびにエナラプリル併用(-)群(III群,n=29),プラバスタチン併用(+)ならびにエナラプリル併用(+)群(IV群,n=18)の4群に振り分け,レトロスペクチブに観察期間50±34ヵ月における患者背景因子,再発回数,経時的洞調律維持率を比較した.患者背景因子においては,IV群と他群における年齢,基礎心疾患,病歴期間に有意差を認めなかった.抗不整脈薬療法後の再発回数は,I群が1.6±2.0回,II群が2.4±1.9回,III群が1.4±1.8回,IV群が0.6±0.9回であり,IV群が他群に比し有意に低値であった(p<0.05).観察期間12ヵ月,36ヵ月,60ヵ月,90ヵ月,120ヵ月目の各群における洞調律維持率はI群が88%,83%,78%,75%,73%,II群が96%,88%,79%,77%,75%,III群が100%,97%,91%,91%,86%,IV群が100%,100%,100%,94%,94%であり,観察期間120ヵ月目の時点でI群に比しIV群で有意に高率であった(p<0.05).発作性AFに対するエナラプリルとプラバスタチンの両剤併用療法は,慢性化阻止効果のみならず再発予防効果も期待され,upstream治療としての有効性が示唆された.