心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
第26回 日本心電学会学術集会 学術諮問委員会提言シンポジウム
不整脈にCa拮抗薬とATPをどう使うか―基礎と臨床―
Ca拮抗薬による心房細動の心拍数調整とリモデリング抑制
三田村 秀雄
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 30 巻 1 号 p. 37-45

詳細
抄録
心房細動(AF)の心拍数調節の標的は,基本的には房室結節の内向きCa2+電流である.それを低下させる薬剤としてCa拮抗薬があるものの,本剤は血管平滑筋のチャネルにも作用するため,血圧の低下により反射的交感神経増加をまねく.その結果,急性投与では反対に心拍数を増加させたり,心房不応期を短縮させて停止を困難にすることもある.一方,AFが持続すると心房筋細胞内のCa2+過負荷を回避するためにL型Ca2+電流を減少させるフィードバックが働く.それが心房不応期の短縮をまねき,リエントリー性不整脈の易誘発性に結びつくが,L型Ca2+チャネルを当初から遮断しておくのみではこのリモデリングを回避できない.T型Ca2+チャネルをも遮断することがより持続的な防止効果につながる.両型のCa2+チャネルを遮断するアミオダロンやベプリジルが動物実験や臨床例において高い抗AF効果を示している.Ca拮抗薬はAFの管理において多面的作用を発揮し,有用性が高い.
著者関連情報
© 2010 一般社団法人日本不整脈心電学会
前の記事 次の記事
feedback
Top