心電図
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原著
我が国で用いられているプロトロンビン時間国際標準比(INR)測定用試薬の国際感度指数(ISI)値とその問題点
―J-RHYTHM Registryからの検討―
小谷 英太郎奥村 謙井上 博山下 武志新 博次折笠 秀樹
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2011 年 31 巻 3 号 p. 225-233

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抄録
心房細動患者の血栓塞栓症予防におけるワルファリンの効果判定には,プロトロンビン時間(PT)の国際標準比(INR)が用いられる.PT-INRはPT比(=患者血漿PT/正常血漿PT)に国際感度指数(ISI)を乗じて算出されるため,使用する試薬のISI値により変動する.そのためISI値が1.0に近い試薬が推奨されているが,これまでに全国規模での調査はなされていない.そこでJ-RHYTHM Registry登録施設を対象に,アンケートにより各施設で使用しているPT測定機器・試薬とそのISI値を調査し,INRとワルファリン投与量に与える影響を検討した.
158施設中152施設(96.2%)から回答が得られ,平均ISI値は1.20±0.28(0.82~1.82)であった.全国10地区比較で有意差を認め(p=0.038),地区平均値最小の南関東地区(1.09)と最大の北越地区(1.47)の間には0.38の差があった.試薬はISI値が1.0に近いトロンボレルSの使用率が35%と最も高かったが,1.5以上の試薬(トロンボチェックPT,トロンボプラスチンCプラス)も23%あり,特に平均ISI値が高い2地区(北越,四国)ではこの2試薬が50%以上を占め,ワルファリン投与量が有意に少量であった.
本調査により,ISI値には地区差が存在し,ISI値1.5以上の試薬の使用率が高い地区では平均ワルファリン投与量が少ない現状が明らかになった.
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© 2011 一般社団法人日本不整脈心電学会
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