心電図
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症例
T波オーバーセンシングを回避することで不適切作動によるショック通電の消失および両室ペーシング率の改善を認めた1例
佐々木 健吾森 俊平菅野 博童鈴木 智博千葉 健門馬 竜一郎尾越 登筬井 宣任金子 海彦滝澤 要井上 直人目黒 泰一郎
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2011 年 31 巻 5 号 p. 467-475

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抄録
 植込み型除細動器留置症例において,T波オーバーセンシングはR波とのダブルカウントの原因となる.この事象は,ときに不適切作動によるショック通電の誘因となることが報告されている.また,心室再同期療法施行症例において,同じくT波オーバーセンシングが原因で両室ペーシング率が低下した症例も報告されている.症例は70歳,男性.拡張型心筋症に伴う慢性心不全に対し,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器が留置された.留置3ヵ月後のデバイスチェックで不適切作動によるショック通電および両室ペーシング率の低下が認められた.心内心電図記録,ペーシングサマリーの解析により,T波オーバーセンシングが双方の原因であることが判明した.右室感度の調整では回避できず,周波数フィルターの調整により,T波オーバーセンシングは消失した.以後22ヵ月間,不適切作動によるショック通電,両室ペーシング率の低下および心不全入院なく経過している.
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© 2011 一般社団法人日本不整脈心電学会
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