心電図
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特集 座談会
ベプリジルの適切な使い方
中里 祐二
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2012 年 32 巻 1 号 p. 65-71

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抄録
ベプリジルはCa2+拮抗薬に分類される抗狭心症薬であるが,本邦ではmulti-ion channel blocking抑制作用を有する抗不整脈薬として臨床使用されている.特に,持続性心房細動に対する優れた除細動効果と,その後の洞調律維持効果が注目されている.年齢,性別,基礎疾患の有無,心機能や呼吸機能,肝腎機能,血清カリウム値,併用薬剤,心電図所見などの患者背景を十分に把握したうえで,通常100~150mg/日より投与を開始し,150~200mg/日(最大投与量)まで増量する.ベプリジル投与開始後1ヵ月までは毎週心電図を観察し,それ以降も2~4週ごとにチェックすることが望ましい.もし,除細動効果が得られ維持治療に移行する場合は,できる限り洞調律維持が可能な最少投与量まで減量を試みる.ベプリジルの注意すべき副作用は,K+チャネル抑制作用によるQT延長およびそれに伴うtorsades de pointes(TdP)の発生である.また,最近では間質性肺炎の合併症報告が増加しており,今後注意が必要である.ベプリジルはこのように重篤な副作用を有するものの,注意深い経過観察を怠らなければ有用な薬剤である.
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© 2012 一般社団法人日本不整脈心電学会
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