心電図
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心電学フロンティア2011(第46回理論心電図研究会)
QT短縮症候群とJ波・早期再分極
渡部 裕
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2012 年 32 巻 3 号 p. 286-291

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抄録
QT短縮症候群は,著明なQT短縮と心室細動による突然死を特徴とする遺伝性不整脈症候群であり,現在までに5つの原因遺伝子が同定されている.心電図上の早期再分極は長年にわたって良性な所見とされてきたが,近年,心室細動や突然死との関連が相次いで報告され,注目を集めている.このうち,Haïssaguerreらによる報告において,早期再分極とQT間隔の短縮の関連性を示唆する所見が含まれていた.そこでわれわれは,QT短縮症候群における早期再分極の役割について検討したところ,QT間隔が正常なコントロールならびにQT間隔が短縮しているが不整脈発作をきたしたことのないコントロールに比べ,QT短縮症候群症例では,早期再分極を認める頻度が高いことが明らかとなった.また,QT短縮症候群において早期再分極は不整脈イベントに関係していた.詳細な機序は不明であるが,早期再分極は心室細動に対する受攻性の増加を反映していると考えられる.
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© 2012 一般社団法人日本不整脈心電学会
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