心電図
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心電学フロンティア2011(第46回理論心電図研究会)
健常人に見られるJ波・早期再分極の特徴
中川 幹子江崎 かおり宮崎 寛子手嶋 泰士油布 邦夫高橋 尚彦犀川 哲典
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2012 年 32 巻 3 号 p. 292-299

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抄録

早期再分極に見られる心電図所見の特徴は,J点の上昇およびJ波(QRS終末部に見られるノッチもしくはスラー)の存在である.J点上昇とJ波では出現頻度や出現誘導が異なっており,臨床的意義は同一ではないと考えられる.すなわち,健常若年男性に見られるJ点上昇はV2~V4誘導で高率に認められるのに対し,J波は主に下壁誘導とV4~V6誘導に出現する.われわれの検討では,J波は男性の12.0%,女性の9.3%に認められ,若年群と高齢群にピークを有する2峰性パターンを示した.ホルター心電図を用いた検討によると,健常人においてもJ波は夜間に増高する日内変動を示し,心拍数や自律神経活動に影響を受けることが示された.加算平均心電図を用いた検討では,J波はQRS内部に含まれていた.また,心エコー図上,左室内に心室中隔から乳頭筋に付着する偽腱索をもつ症例では,J波の合併率が有意に高く,これらの心室内構造物がJ波や不整脈の発生と関連がある可能性が示唆された.

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© 2012 一般社団法人日本不整脈心電学会
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