抄録
特発性心室細動(IVF)の発現において,近年J波の関与が注目されている.J波は早期再分極異常ととらえられているが,QRS波終末部で記録されるため,考え方によっては脱分極異常としてとらえることもできる.IVF患者において心電学的リスク指標を評価したところ,J波は脱分極異常を反映する心室late potentials(LP)と有意な関連性を示したのに対して,再分極異常を反映するT-wave alternansやQT間隔解析指標とは関連性を示さなかった.LPの各パラメータは,J波を有するIVF患者では日内変動をきたした.また,J波は心拍変動解析の迷走神経活動指標であるHF成分と正の相関関係を示した.さらに,J波を有する若年のIVF患者において薬効を評価したところ有効な薬物はなかったが,J波がないかJ波があっても変動しない10歳代のIVF患者ではβ遮断薬が有効であった.このように,早期再分極症候群またはJ波症候群とも称されるJ波を伴うIVF患者でのリスク評価法や薬物効果が,徐々にではあるが明らかにされつつある.