抄録
心房細動は,慢性心不全患者の1/3に合併する代表的な加齢関連疾患である.従来は,心不全の重症化・再発予防の観点からこれらの患者に対応してきたが,急性期のレートコントロールに成功し,脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)ガイド下の治療が奏功するに従い,当初の課題は克服され,臨床像も異なるようになった.むしろ,長期予後における脳卒中・認知症・歩行困難などを回避するためのケア予防の先制介入が,少子・高齢化社会の医療課題となっている.リスクプロファイリングを確立し,アップストリーム治療を駆使して,ケア予防をも目指した診療体系が望まれている.