【背景】12誘導心電図のJ波やST上昇は早期再分極所見とされ,アスリートに多く,心臓性急死との関連が問題となっている.一方,我が国の体育系大学生における早期再分極所見率や特徴は報告されていない.【目的】我が国の体育系大学生における早期再分極(J波)所見の頻度を非体育系大学生と比較検討する.【方法】本学スポーツ健康科学部学生(Sports群)362名,医学部学生(Control群)123名(18±1歳)の心電図において,2誘導以上でJ波が基線から0.1mV以上の上昇を示す所見を早期再分極と定義し,下壁誘導(II,III, aV
F),側壁誘導(I, aV
L, V
4, V
5, V
6)および両誘導について比較した.【結果】早期再分極所見率はSports群がControl群に比べ高い傾向を示したが(14.6 % vs. 10.6%,p<0.26),有意差はなかった.また,下壁誘導(8.0% vs. 5.7%,p<0.40),側壁誘導(4.1% vs. 4.1%,p<0.97),両誘導(2.5% vs. 0.8%,p<0.26)も有意差はなかった.Sports群の早期再分極所見は短いQTc(OR, 5.42;95% CI, 1.58~18.64;p<0.01),心電図上の左心室肥大(OR, 3.35;95% CI, 1.75~6.39;p<0.001)および低い心拍数(OR, 2.32;95% CI, 1.23~4.39;p<0.01)が有意に関連していた.【結語】我が国の体育系大学生の早期再分極所見率は,非体育系大学生の所見率と統計上の差がなかった.
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