心電図
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第29回日本心電学会学術集会 第1回不整脈薬物治療サミット
抗不整脈薬の分子標的と今後の展望―古くて新しい抗不整脈薬―
小野 克重
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2013 年 33 巻 2 号 p. 121-128

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抄録
Vaughan-Williams分類は抗不整脈薬を4つのグループに分け,どのような機序で不整脈を抑制するかに関して総合的な薬理作用を説明するものである.一方,Sicilian Gambitは抗不整脈薬のすべての薬理作用を列記し,その強弱を明示することでそれぞれの抗不整脈薬の作用の違いを明らかにしている.アトロピン,アデノシンおよびジギタリスはVaughan-Williams分類では抗不整脈として認められていないが,Sicilian Gambitの提唱ではその特異な薬類作用によって抗不整脈薬としての価値が再評価された.現在,用いられている抗不整脈薬はイオンチャネルや受容体,あるいはトランスポーターを阻害して,不整脈の発生や持続を電気的に抑制する薬剤である.しかし将来的には,不整脈基質を改善するupstream治療の概念を考慮した薬剤が開発され,長期的に不整脈を管理することができるようになるかもしれない.
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© 2013 一般社団法人日本不整脈心電学会
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