抄録
左室起源の持続性心室頻拍(持続性VT)に対し,経心房中隔アプローチにて良好な長期成績が得られた2例を報告する.【症例1】81歳,男性.大動脈弁閉鎖不全症に対するBentall術の既往がある.心房中隔穿刺により僧帽弁経由で左室をマッピングしたところ,左室側壁心基部側の低電位領域(LVZ)に電気生理学的に起源を同定し線状にアブレーションした.以後2年間,VTの自然発作は減少した.【症例2】81歳,男性.陳旧性下壁梗塞と,経大腿動脈的に施行した経皮的冠動脈形成術後に脳梗塞を発症した既往がある.心房中隔穿刺を行い左室にアプローチし,下壁のLVZに電気生理学的に同定した起源に対し線状アブレーションしたところ,VTは誘発不能となった.その後,3年間VTの再発はない.【総括】経心房中隔アプローチは,症例ごとに適したガイディングを選択する必要があるが,経大動脈アプローチと同様に左室心内膜面全体のsubstrate map,activation mapが可能であり,経大動脈アプローチが不可能・不適切な左室心内膜側起源,特にアプローチしやすい下壁・側壁起源のVT例に対し有用な手段である.