2013 年 33 巻 3 号 p. 276-282
心房細動(AF)の興奮パターンはランダムで,固定された回路は存在しないという考え方が現在のところ通説である.しかし,われわれはAFは必ずしもランダムなものではなく,時間的・空間的に安定した基質が存在すると考えている.それがcomplex fractionated atrial electrogram(CFAE)である.CFAEはAFのすべての病期における基質を示しており,よいアブレーションターゲットとなりうる.方法論については,(1)AF中に左房・冠状静脈の3次元マップを作成し,CFAEを認めた領域にタグをつける,(2)マップを完成させた後,タグ,ならびに好発部位を中心に“時間的・空間的に安定している”CFAEを“領域として”アブレーションする,ことにより高率にAFを停止させうるというものである.なお,心臓副交感神経節(GP)存在部位はCFAEの好発部位である.本稿ではこれらとともに,著者の留学先の指導者であるNademanee先生についてもふれたい.