心電図
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原著
ホルター心電図から見た東日本大地震の影響
松田 ひろみ伊東 春樹土田 博子高橋 佳苗藤井 綾乃田邊 紀子波多野 由美前田 知子阪口 恵美山本 享子堀川 良史住吉 徹哉
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2014 年 33 巻 5 号 p. 429-436

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抄録
2011年3月11日に起きた東日本大地震(東京にて震度5強)が心電図にどのような変化を与えたのか,ホルター心電図から検討した.対象は,地震発生時に当院にてホルター心電図を装着していた患者30名.心拍数,ST変化,心拍変動解析による全周波成分(TF),高周波成分(HF),低周波成分・高周波成分比(L/H),超低周波成分(VLF)について,地震発生の前と後5分間,10分間,30分間における各指標の変化の程度や持続時間ならびに年齢・性別による違いについて調査した.結果は,地震によって心拍数は増加し,STは低下した.TFは地震発生前に比し増加,HFは低年齢層では減少したが高年齢層では増加した.また,L/Hは低年齢層では増加したが高年齢層では減少,VLFは全体的に増加する傾向が見られた.高年齢層においてHFが増加し副交感神経活性の上昇が見られたのは,地震によって前失神状態・驚愕反応に近い状態になったためではないかと推測された.
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© 2014 一般社団法人日本不整脈心電学会
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